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五島列島 2012年.3月6日~9日
五島列島 2012年.3月6日~9日
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6日 JR京都駅(新幹線のぞみ49号博多行)18:29発→博多21:13着→博多埠頭 野母商船フェリー太古(五島列島行)23:30発(船中泊)
7日 中通島青方港6:00着→青方→青砂ヶ浦天主堂→大曽教会→青方港フェリー太古12:30発→小値賀港13:30着→小西旅館→歴史民俗資料館→六社神社→小西旅館(宿泊)
8日 小値賀港 町営定期船はまゆう7:30発→野崎島野崎港8:00着→野崎集落跡地→野崎島自然学塾村→旧野首教会→舟森トレッキングコース出発10:00前→自然学塾村で昼食13:00→野崎港町営定期船はまゆう15:00発→小値賀港着15:30→サイクリング(16:00~17:45) 姫ノ松原方面→夕食(寿し平太)→小値賀港九州商船フェリーなるしお19:40発→宇久島平港20:30着→藤屋旅館(宿泊)
9日 サイクリング(8:30~12:30)[スゲ浜海水浴場→長崎鼻・長崎灯台→針木→下山漁港 アコウ巨樹]→昼食→平港野母商船フェリー太古14:20発→博多埠頭18:55着→JR博多駅(新幹線のぞみ98号名古屋行)20:00発→京都駅22:44着→帰宅
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6日 天気予報を気にしながら午後6時前に自宅を出発。京都駅から3時間足らずで博多駅に到着し、博多港からフェリーに乗船。船中泊なのでツイン個室でゆっくり熟睡の予定が、大波小波に揺られて何度も目を覚まし、船酔いしないように身体を水平にウトウトしながら過ごします。
7日 「朝、汽笛の音で目覚めてデッキに立つと、そこはエメラルドグリーンに輝く西海の楽園」と旅行本の説明を頭に描いていたのですが、今日は季節も天気も違います。
朝6時に中通島青方港に到着した時は、まだ夜明け前です。港の周辺は何も無く、冷たい風に吹かれながら20分くらい歩いて青方に着くころからやっと東の方が白み始め、朝食はたった一軒開いている「ほか弁屋」のオニギリ。この暗く寂しくスタートが、実は旅の妙味のように思います。
島の路線バス(西肥バス津和崎行)青砂6:57のバスに乗り、青砂教会前7:19で下車。

青砂ヶ浦天主堂
青砂ヶ浦天主堂
明治11年(1878年)頃は小さな集会所でしたが、大崎神父が外国から原書を取り寄せて設計・施工の指導にあたり、現在の教会堂を明治43年(1910年)に設立。正統的な様式、意匠が特徴で鉄川与助の手による初期の煉瓦造りの教会です。現在の建物は3代目で、2010年に献堂100周年を迎えました。

早朝の静かな教会を拝観した後、辺りの情報を得ようと通りかかりの人に話しかけますが、会話は弾まず「クリスチャンですか?」の質問にはきっぱりと「はい、そうです。」の返事が返ってきました。分からないまま、その辺を散策してバス停・青砂浦別道8;48で乗車、青方で乗り換えて、バス停・大曽で下車して大曽教会に行きます。

大會教会
大曽教会
明治12年(1870年)に木造教会を建立。大正5年(1916年)に現在の煉瓦造りの教会堂となります。八角形ドーム型の鐘楼や、色の異なる2種類の煉瓦を使った壁面などに特徴があります。大曽教会は礼拝中でしたが、静かに仲間入りして30分位お話を聞き中座します。

ピンクの桜
教会の前庭には、緋寒桜が満開です。

桜
サクラ 染井吉野ではなく自生の桜です。(名前は不明)

キブシ
キブシ

大曽教会から青方港までバスに乗らずに、自生の植物を見ながら1時間以上歩いて、小値賀島行12:30発太古フェリーに乗船します。

太古フェリー
乗船時間30分で小値賀港に到着、小西旅館にチェックイン、リュックサックを預けて小値賀町散策に出かけます。ご当地名産の五島うどん(昼食)を食べてから歴史民俗資料館を訪ねます。当館は捕鯨業を営んでいた旧小田家を改築して、古代の遺跡から捕鯨、近代までの民族資料を展示している町営の資料館で、丁寧な説明を受けて長居しました。笛吹本通りを上がって六社神社に立ち寄り、明日の昼食用にカップ麺とスボカマボコを購入して、旅館に戻ります。夕食はカブトガニや新鮮なお造りなどの和食で、お汁のお味噌とふわふわワカメが美味しいです。

8日
6:00起床、6:30朝食、7:00チェックアウト後、小値賀港から 町営定期船はまゆう7:30発に乗船して野崎島野崎港8:00に到着します。今日の観光客は私達2人だけです。

野崎集落跡地
野崎港の野崎集落跡地は、野性鹿と鳥と植物と朽ち果てた家屋と崩れかけた石垣が広がり、言葉を失います。

段々畑・石垣跡
段々畑・石垣跡
島が全盛を誇った時代には約80戸、数百人もの人達が住まれていたそうですが、時代の流れと共に島を出る人が相次ぎ、平成13年の秋を最後に無人集落となりました。

旧野首教会1
野崎集落跡から西方に山道を20分くらい歩くと野首集落跡があり、旧野首教会を中心に、ピーク時には200人もの人々が住まれていたそうですが、今では廃屋すらも朽ちて無く、瓦のカケラや石垣にその往時を偲びます。野崎集落に比べると非常に厳しい状況の中で人々が畑を開墾し生活していたといわれる野首集落。その暮らしを見守るように高台にそびえ立つ教会が遠くに見えます。

旧野首教会3
旧野首教会のすぐ近くに野崎島自然学塾村があり、野崎島唯一の休憩・宿泊施設で、廃校となった小中学校を利用しています。ここの管理人さんに旧野首教会の鍵を開けてもらって中に入ります。

旧野首教会内部
旧野首教会内部
ステンドグラスから射し込む光は優しくシンプルな椅子が整列し、綺麗に磨かれたピアノが一台置かれています。小値賀町で「第11回おじか国際音楽祭」が3月15日~20日に開催され、18日には、ここ旧野首教会が「教会プレミアムコンサート」会場になります。
自然が広がる風景に包まれた教会堂にクラシック音楽が響き合う幻想的なコンサートになることでしょう。

野生鹿
自然学塾村のグラウンドに、何か欲しそうに雄の野性鹿がこちらをじっと見ています。
現在400~500匹の九州鹿が生息しています。

旧野首教会2
舟森集落跡に向かう道の途中から振り返ると、旧野首教会が静かに美しく建っています。
信仰の結晶である教会は、今も集落跡を見守り続けています。

椿の木
ヤブツバキの木

椿の花
ヤブツバキの花

大岩
大きな岩の横を通ります。過去の地震・震度4の時は、沢山の岩が転がったそうです。

山道
アップダウンが続く山道を進み、舟森集落跡まであと1kmくらい手前で視界が広がるり、分かれ道で、距離と時間を天秤に進むか戻るかを迷いながら、野首集落跡へ引き返します。

ジンチョウゲ
春風が運んでくる香りの先には野性のジンチョウゲの木

ジンチョウゲの花
花数が少なく真っ白で清楚なジンチョウゲの花

カンコノキ
カンコノキ(トウダイグサ科カンコノキ属 落葉低木)初めて見聞きする植物です。
枝に棘があり、7~8月ごろ淡緑色の花が咲くそうです。

野生鹿2
野性鹿
ほとんどは警戒して遠ざかって行きますが、この2頭は珍しそうに私を見ています。

植物
赤い紅葉が目を引く植物で、あちこちに群生しています。(名前は不明)

隠れキリシタンの里・舟森方向へのトレッキングも終り、自然学塾村に戻って(13:00)、昼食は、お湯を沸かして持参したカップ麺とスボカマボコです。昼食後、管理人さんにお礼を言って、海を見ながら来た道を野崎港に戻ります。鹿の足跡が残る赤い火山土の道が続き、非日常の風景の中に居ると、思考回路が多方向に移行し始めるのは、この島の魅力でしょう。
町営定期船はまゆう出港の30分前に野崎港に到着し、もう一度辺りの植物を探索します。

草が住む家
この廃屋は、一昨年の私の作品「草が巣む」と同じイメージでよく似た構図です。

オオイタビ
オオイタビ(クワ科イチジク属)
常緑つる性大木で東南アジア南部に分布し、日本では関東南部以西、特に海岸近くの暖地に自生し、栽培もされます。茎から出る気根で固着しながら木や岩に這い登り、オオイタビの名は、イタビカズラに似て大型であることによります。
野性鹿はこのオオイタビの葉を美味しそうに食べました。この実も食べるそうです。


野崎港発15:00に乗り、小値賀港15:30に着いて、港で自転車を借り、姫ノ松原方面をサイクリング(16:00~17:45)、夕食は寿し平太で、地元の新鮮魚のにぎり寿司と日本酒です。
小値賀港九州商船フェリーなるしお19:40発に乗船、宇久島平港に20:30到着。港のすぐ近くの藤屋旅館に宿泊します。

9日 旅館近くの自転車店で自転車を借りてサイクリング(8:30~12:30)は東方向に出発します。強風にあおられながらのヨロヨロ運転ですが、人や車の通行はほとんど無く事故することもありません。

スゲ浜海水浴場
スゲ浜海水浴場では、少し太陽が見えました。

沖の小舟
海は輝き、遠くの沖に小舟のシルエットが浮かびます。

ハナナ?
園芸種・ムラサキハナナに似た植物が自生しています。

長崎鼻灯台
長崎鼻灯台辺りの海は時化て白波が立ち、潮風で喉は渇き、軽い私は飛ばされそうです。

放牧
放牧は5月~12月だそうですが、時々放牧牛がのんびりと過ごしていました。

アコウの巨樹
アコウの巨樹
針木から平港に戻り、南西方向に走り下山漁港のアコウの巨樹を見ます。
市の天然記念物に指定され、幹周りは最大16m。

アコウの幹
アコウの幹

アコウの葉
アコウの葉

自転車を返却し、地元の鮮魚店「くろしお」で、お土産品《刺身用みずいか、鯵干物、鯵みりん干し(冷凍)五島うどん(乾麺)》を購入しクール宅急便発送をお願いします。
昼食は港近くで長崎ちゃんぽんを注文。アサリ、タコ、イカ、豚肉、小海老、蒲鉾、チクワ、キャベツ、ニンジン、モヤシ、玉ネギが入って大盛りでした。

宇久平港野母商船フェリー太古14:20発に乗船し博多埠頭に18:55到着。タクシーでJR博多駅に行き、新幹線のぞみ98号名古屋行20:00発に乗車、京都駅に22:44到着して、無事帰宅しました。

今回の旅は「長崎の軍艦島に行こう」と夫に誘われて、私は「旧野首教会のある五島列島に行きたい。」と言うのですが、実は京都新聞(2011年4月18日付朝刊)に掲載された旧野首教会の記事を取って置いたのは夫です。その記事の一部を紹介します。

『受難の歴史超え建設 
長崎県には全国の1割以上、約1300の教会があり、そのうち約50が五島列島に集まっている。江戸初期の禁教令で、潜伏し、長く苦しい時代も信仰を守り通したカトリック信徒とその子孫たちが、明治の禁教令撤廃後、五島の津々浦々に建てた「神の家」だ。過疎化が進み、島を離れた住民も多いが、教会は今も、人々の心をつないでいる。隠れキリシタンだった祖先の歴史を後世に伝えようとする姿もある。』(文 山元康彦)

この記事と旧野首教会の新聞写真は深く心に留まり、私の気持ちは野崎島に飛んで行きました。世界に通じる素晴らしい無人の島を忘れることはありません。


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03/11 22:43 | 旅行
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