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藤野さち子展「カタチの向こう」(2010.11.2~14)を終えて
ギャラリー揺 シリーズ企画「移行」4
藤野さち子展「カタチの向こう」(2010.11.2~14)を終えて

当ギャラリーは板の間と畳の間と庭の3つの展示スペースがありますが、藤野さんは、玄関から全体が一度に見渡せるので、一つの空間と捉えて展示を考えられました。

 室内展示
室内展示 photo 藤原 稔

 象(かたち)
作品「象(かたち)」 2枚貝のような、植物の実が弾けたような、気になる美しい形です。
開くのでしょうか、閉じるのでしょうか?

 かたちB
作品「かたちB」
下部のシンプルな小ささと上部の複雑で大きな動きが不安定なのに、力強さを感じます。

 かたちA
作品「かたちA」 photo 藤原 稔
鉛の円形シート上に信楽の土を1230度で焼いたオブジェを展示。1人ではとても持てない約20kgの大作です。包み込む力なのか、開き始める力なのか、植物なのか動物なのか、エネルギーが外にも内にも発せられる謎の形です。

 和室展示
和室展示 photo 藤原 稔
南側の障子からの優しい光を受け、様々に変化して見えます。

 庭展示
庭展示 作品「容(かたち)」
下部はひねりで上部はたたらで成形。
少し作品が多めに感じましたが、日に日にこの数で納得しました。

藤野さんは、陶に関して遅いスタートで30才頃から始め、朝日陶芸展秀作賞、大韓民国世界陶磁ビエンナーレ国際展 特別賞と受賞を重ね、個展多数、海外での展覧会と、作家活動が今日まで続きます。
来廊者からは「花弁みたい」「破れた球体みたい」「触ってみたい」「人の琴線に触れる作品」と様々でした。
藤野さんからの言葉は「一食抜いても、仕事は拭かない」が私には刺激的でした。制作することが日常生活の一部となって、毎日仕事場に自転車で通い、土との対話の日々がこれからも続くそうです。制作時は寡黙な藤野さんでしょうが、会期中はテンションも上り、会話の内容も様々に飛びながら、楽しい時間をご一緒できて大収穫でした。
優しい違和感を超えて、不思議な空気の漂う展覧会をありがとうございました。
最後の締め括りに藤野さんから文章を頂きました。
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かつての住居空間であるギャラリー揺は、ホワイトキューブの展示空間とは異なった興味深い場となりました。庭の紅葉した木々は作品に影を落として優しい空間となり、部屋での作品展示は空間と対峙しながらも響きあい、より深い空間になり得る喜びがありました。
時間の流れと共に光と呼吸する作品は新たな表情を見せてくれ、1日の変化は私自身の変化のように心にしみ入ります。
制作、展示、そして作品と向き合い“かたちの向こう”側に表現の意味を再確認する大事な期間となりました。                藤野さち子
                    

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11/18 10:31 | 展覧会
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