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剣山&牧野植物園  2010年8月1日~3日
剣山&牧野植物園  2010年8月1日~3日
「自然と語る会」300回記念(第307回)四国への旅に参加しました。
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一日目 チャーターバスでJR石山駅→大津IC→吹田JCT→西宮IC→垂水IC→淡路SA(休憩)→板野IC→藍住IC→美馬IC→見ノ越→西島→剣山散策・西島→見ノ越→ホテルかずら橋(徳島県三好市西祖谷山村善徳)に宿泊
二日目 かずら橋散策後ホテル出発→大豊IC→高知IC→牧野植物園散策→国民宿舎 桂浜荘(高知県高知市浦戸城山830-25)に宿泊 到着後坂本龍馬記念館、桂浜散策
三日目 宿舎出発→四国カルスト周辺散策→松山IC→石鎚山SA→川之江JCT→坂出JCT→坂出IC→早島IC→倉敷JCT→瀬戸PA→名塩SA→吹田JCT→大津IC
→JR石山駅

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一日目(8月1日)
5:00起床、5:45自宅を出発。早朝の爽やかな空気を深く吸い込み、人通りの少ない静かな竹下通りを西武に向かいます。JR石山駅6:00集合出発のチャーターバス(28名定員)に義仲寺前(西武大津店前)バス停から私を入れて6名が途中乗車して、参加者は20名。バスは剣山に向かって走り続け、途中の道の駅でお弁当等を購入し車中で昼食です。国道438号線、貞光―宇峡コースを剣山の登山口・見ノ越へ向かって走ります。ムクゲ、ノリウツギ、アジサイ等が咲き、貞光川の水の色はエメラルドグリーンで「綺麗ね~!」と覗き込みますが、道幅は狭く離合困難で運転手さんは大変です。

kumazasa
ミヤマクマザサの群生を車窓から撮影。
12:30過ぎに登山口に到着し、ここからリフトに15分間乗って標高1720mの西島まで上がります。リフト道にはキレンゲショウマ、ナンゴククガイソウ、ニッコウキスゲ、ユウスゲ等が植えられ綺麗に咲いています。さて、いよいよ自分の足で登り始めますが、すぐに胸が苦しくなって座り込み、先程食べたお弁当を戻します。バスの中で食べ過ぎたのか、心臓が弱いのか、血圧が低いのか、「もう、歩けない!」と言う私の顔は青白く、グループの人達に付いて行くのは無理と判断して、ここで別れることにします。

sora
青い空と雲とアカシヤの葉を見上げて寝ころび休憩します。 少し元気になり、近くに咲いているオトギリソウの仲間を写真撮影していると、「これは、タカネオトギリ(高嶺弟切)ですよ」と背後から声が聞こえます。

takaneotogiri
そして「刀掛けの松」でその人が「これからキレンゲショウマ群生地の方へ行きます」と30人位のグループに説明しているのが聞こえてくるので、不安ながらもその最後尾にそっと付いて歩き始めます。しばらく黙って歩いていると、前の人が振り返り、私を不審に思い質問されたので、事情を話し、一緒に行っても良いことになります。この団体は京都新聞社主催のツアーグループで3時間コースのようですが、行動を共にして時間内にリフト乗り場に戻れるか不安に思いながら、細い山道を下の方へ降りて行くと、キレンゲショウマの群生が見え始めます。植物の力はとても大きくて、違うグループに居ることも忘れるくらい嬉しくて、何枚も写真撮影をして、花を覗きこみ、辺りの景色と一緒に堪能します。

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キレンゲショウマの群生

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キレンゲショウマのアップ
キレンゲショウマ(黄蓮華升麻)はユキノシタ科の多年草でレンゲショウマに似ていることからこう呼ばれています。世界的な稀産植物で、茎の高さは0.8~1.2m、浅く掌状に分裂した大型の葉は対生で7~8月に茎の先に美しい黄色の花をまばらにつけます。石灰岩地帯に生え、深山の湿った木陰にまれに見られ、紀伊半島の大峰山系、四国、九州に自生しています。作家宮尾登美子氏の「天涯の花」(平成11年)で有名。でも、花が途切れまた不安になった時に、ずっと下の方から私のグループの人達やリーダーの声が聞こえたので、「人見さ~ん!待って~ッ!」と大声で叫び、運よく合流できて本当に良かったです。

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オオモミジガサ(大紅葉傘 キク科 多年草)
茎は直立し、高さ1~1.5m。全体に淡褐色の縮れ毛があり、やや軟らかい液質です。葉は2~3枚で互生。茎下部の葉は長い柄があって、葉身は掌状に中裂。8~9月、茎頂に総状花序をつけ、花は筒状花のみからなる頭花で黄色です。深い林床に生え葉が紅葉(もみじ)に似ており、土佐(高知県)で最初に発見されたのでトサノモミジソウの別名があります。

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イヨフウロ(伊予風露)別名シコクフウロ(フウロソウ科フウロソウ属)

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ホソバシュロソウ(細葉棕櫚草 ユリ科シュロソウ属)
多年草で山地の林縁や草地に生え、高さは30~80cmになります。「アオヤギソウ」の変種で、花が紫褐色で、葉の幅が3cm以下と細いのが特徴です。また花絵柄も長く1cm以上もあります。別名「ナガバシュロソウ(長葉棕櫚草)とも呼ばれます。シュロ(棕櫚)の名前はシュロの幹の周りに付く毛のような皮に似たものが、葉の根元の葉柄(さや状に葉を包んでいた柄)が腐りシュロに似た毛になることからです。

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大剣岩の下に大剣神社があります。 

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倒木更新(倒れた古木を礎にして新たな世代の植物が育つ)

遅くから登り始めたので他の登山者に出会うことも無く、山を独り占めしているようで快適です。剣山頂上(1955m)に15:55到着して360度の展望を楽しんだ後、西島に向けて下山開始し、リフト乗り場には16:50到着、バスに戻ったのは17:30。通行困難な山道を運転手さんは慎重に進み、ホテルかずら橋には夕食約束時間19:00の少し前に到着。入浴より先に夕食で、沢山の山菜料理を楽しんで頂きました。夕食後はケーブルカーに乗って行く露天風呂と館内の内風呂に入り一日の疲れを取ってゆっくり休みました。
二日目(8月2日)
6:00起床、朝湯を浴びて7:30に朝食。

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8:40に昭和38年製ISUZUボンネットバスに乗ってホテルを出発。平家落人子孫の陽気な運転手さんの解説を楽しみながら、かずら橋に向かいます。
よく揺れる蔓の吊り橋を渡ります。

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ボンネットバスでホテルに戻り、私達のバス出発は9:30。大歩危、小歩危を車中から眺めて、高知ICから牧野植物園に到着11:45。高知県立牧野植物園は高知が生んだ「日本の植物分類学の父」牧野富太郎博士を顕彰するために博士逝去の翌年、1958年に高知市の五台山に開園。約6haの園地に約3,000種が四季を彩ります。黄色いハマボウの花が見える園内のレストランで昼食後、珍しい植物に誘われて酷暑の中を散策しました。

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ビロードムラサキ(クマツヅラ科ムラサキシキブ属)1914年に牧野博士が新種として学名発表。葉や茎がビロード状の星状毛で覆われています。花期は7月~8月

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アメリカホドイモ(アメリカ塊芋 マメ科ホドイモ属)
北米、カナダ原産で明治時代に渡来したつる性植物です。6~8月頃に紫褐色の花が咲きます。名前の由来は塊(ほど)状(かたまり)の根をもつことからで、根の部分は食用の芋となります。

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ヒギリ(緋桐 クマツヅラ科クサギ属)
中国~インドが原産で、高さは1~3m位になる落葉低木です。枝先に円錐花序に緋(朱赤)色の筒状花をいっぱいに咲かせます。名前の由来は花が緋色で葉がキリ(桐)に似ているからです。

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ヒオウギ(アヤメ科ヒオウギ属)の花と実
扇のような形に開いた剣状の葉の先に、黄色や橙色の花を付けます。昔、公家たちが持っていた檜扇に似ていることからその名が付けられ、祇園祭を飾る花として、山鉾が並ぶ室町筋などの商店や町家に飾られ、祭りムードを高めます。実は黒色で「射干玉(ぬばたま)」または「鳥羽玉(うばたま)」といいます。

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ササガニユリ(ヒガンバナ科)
西インド諸島原産の多年草で花期は6月~8月です。英語名の「スパイダーリリー」とは、蜘蛛のような形の百合ということで、辞書によると「細蟹、笹蟹」・蜘蛛の古名、蜘蛛の糸のことらしいです。

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フクジンソウ(福神草)(ジョウガ科)
花期は6~7月で、根茎は薬草になり百日咳・肝炎などに用います。

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熱い温室のランを最後に植物園を15:00出発して国民宿舎桂浜荘に15:20到着後、龍馬の手紙を中心に展示している高知県立坂本龍馬記念館に入館。大勢の人で賑わっていました。宿舎に戻り、入浴後18:00からの夕食時には大西さんご持参のウワミズザクラ酒を美味しく頂きます。食後19:00から坂本龍馬像を通って暮れかける桂浜を散歩。

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夕暮れの桂浜(右上の白丸は水滴がレンズに着いたもので月ではありません)

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桂浜から見る国民宿舎桂浜荘。月の名所で有名ですが空に月は無く星を観察。今年の夏は日が暮れても気温は下がらず、蒸し暑さに汗びっしょりで、もう一度入浴してから寝ます。
三日目(8月3日)
日の出を撮影しようと5:00起床。宿舎のベランダから水平線を見つめて待ちますが、雲がたなびき日の出は見られません。

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5:30頃、雲の上からの日の出で、やっと太陽が現れて、すぐまた雲隠れ!
海では2隻づつ組になった漁船が網を引き漁をしています。6:00過ぎに入浴、7:00朝食後、近くの浦戸天守閣跡の神社で手を合わせて、8:00に宿舎を出発。
途中で、四国八十八カ所巡りの「歩きのお遍路さん」とすれ違います。巡礼の旅は3カ月間・100万円位必要と聞くと、信仰心の無い私にはとても無理です。高知市街のはりまや橋、高知城、市電、楠やエンジュの並木を眺めながらバスは進みます。

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天狗高原(四国カルスト)を目指して山道を走る頃から、空は次第に雲が広がり、ところどころにガスも出てきます。11:35天狗高原に到着。

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高知と愛媛の県境に建つ天狗荘
日本三大カルストのひとつである四国カルスト県立自然公園は昭和36年に指定。天狗高原や地芳峠を中心として白い石灰岩(カレーン)とすり鉢状の窪み(ドリーネ)が点在し、羊の群れのように見える石灰岩はもともと海底のサンゴ礁が、長い時間をかけて隆起した名残です。

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ヒメユリ(姫百合 ユリ科ユリ属) 茎葉ともに細く濃橙色の6弁花が咲きます。沖縄の糸満市に戦災祈念の「ひめゆりの塔」が有名。


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ヤマホトトギス

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ツリガネニンジンの白花

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シオガマギク

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ススキの大群落を散策する仲間。

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ハンカイソウ

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ハンカイソウ大群落

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ススキとオモゴザサの群落
他にホタルブクロ、カキラン、シオガマギク、キヌタソウ等々、沢山の花々が咲いて撮影に忙しいくらいです。 カルスト風景を眺めながら小高い丘の上で昼食を取ってから、周遊して天狗荘に戻り、少し休憩して14:00に出発します。

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途中、五段高原付近の広い草原では牛の放牧。
さて、ここから大津まで約450kmを7時間半余かけて長時間のバス移動が始まります。脚が痛くなる人、腰が痛くなる人も多く様々な格好をしながら大津ICに21:45到着。西武前で途中下車して、皆さんと分かれ帰宅しました。
天気に恵まれた3日間、珍しい花々に出会い嬉しい笑顔に囲まれて楽しかったです。リーダーの人見さん&大西さん、語る会の皆さん、本当にありがとうございました。
尚、このブログ作成には大西さんより資料提供&校正で大変お世話になりました。

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08/16 00:08 | 山歩き
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