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group 93/81/72展(2021.5.18~30)を終えて
group 93/81/72展(2021.5.18~30)を終えて

2009年に番画廊(大阪)でgroup81展を開き、その後2013年まで毎年開催。その「group」の名前を引き継ぎ、参加メンバーの変更後、2014年からgroup86/74/65展を弊画廊で毎年開催して今年で8回目です。(展覧会名の数字は、開催年の3作家の年齢を表しています。)

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林 康夫「浪江町の景」
 
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林 康夫「浪江町の景」
 
IMG_E4337.jpg林 康夫「浪江町の景」

東北大震災から10年が過ぎました。
3年前に尋ねた浪江町は、白く荒れ果てた地面が茫漠と広がっていました。その時の印象の凄まじさに圧倒され、当地に居住されていた人達のことを思い、私に出来る事はと考え、東北シリーズとしての制作を続けています。(林 康夫)

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林 康夫「浪江町の景」

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林 康夫「浪江町の景」

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林 康夫「浪江町の景」


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木村秀樹「Mt. Fuji 3」

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木村秀樹「Mt. Fuji 2」

日本人にとって最大且つ永遠の主題とも言える「富士山」。
半透明のメデイウムをスキージングし皮膜を造るという、20年来継続している技法によって試みました。
空に浮かぶ雲のように透けた富士山になりました。(木村秀樹)


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中馬泰文 remake 「button」

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中馬泰文 remake 「button」(circle) 

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中馬泰文 remake 「button」(triangle)

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中馬泰文 remake 「button」(cross)

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中馬泰文 remake 「button」(square)

小学生の頃、雑巾を手作りする裁縫の授業があった。
糸を繰り運針をする。
時々針で指を刺し、その度に大声で悲鳴を挙げたものだ。縫い上げられた雑巾は点々と赤い模様がついた。
いまの子どもたちにはこんな体験はないかもしれない。
ひと針ひと針 時を刻む行為にも似て夢中になった。(中馬泰文)

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左から、中馬先生、林先生、木村先生(展覧会最終日)

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陶説 7 July 2021 No.818 (日本陶磁協会)に掲載された展評

関西の陶芸展 3 ギャラリー揺(京都市左京区銀閣寺前町)5月18日~30日
group93/81/72展
二桁の数字が三つ並んだ不思議な名称の展覧会は、出品作家の三名の年齢を表している。陶芸の林康夫、平面(素描)の中馬泰文、版画の木村秀樹の三人展で、企画構成はサンケイ新聞の記者であった高橋亨による。このメンバーで既に同ギャラリーで八回目の展覧会となる。
二〇〇五年にオープンしたこのギャラリーは、銀閣寺・哲学の道に近く、もともと個人の住宅であった和室や板間のある家屋と庭を生かした作りである。京都らしい風情のあるこうした展示環境そのものが、展示作品をナチュラルに演出する点で、美術館などのいわゆるホワイトキューブとは異なり、作品との親近感が生まれていた。
九十三歳の林康夫の作品は、いずれも「浪江町の景」というシリーズである。東日本大震災の被災地、浪江町を林は三年前に訪れた。その記憶が、今回の作品のベースとなっている。
成形はいずれも板作りである。オブジェ制作に取り組み始めた1940年代の終わりから、一貫して紐作り、手捻りで成形してきた林が、今回タタラを使用したのは、腕の骨折が理由だという。陶芸家ならずとも九十歳代で骨折は、珍しい事ではないかもしれないが、にもかかわらず当然のように制作と発表を続けるこの作家の意志と制作意欲には驚きを覚える。
作品はタタラをやや不規則に構成したものだが、いずれもどこかに内部を覗かせ、それが確かに〈空間〉を感じさせる。住民らしき建物の壁には、そこかしこに〈傷〉のような凹凸が見られるが、これは作家がタタラそのものを作る際、自然に生じたものをそのまま生かしたという。制作のプロセスにおける自然な痕跡が、結果として表現における住宅の傷跡のようになっている。それは、災害の痕跡であると同時に、人々が確かにそこに暮らしていた痕跡でもあろう。傷ゆえに、人間の〈不在〉と〈存在〉を同時に示すのである。
屋根の辺りを切り取ったような作品は、屋根の上部に柔らかな釉薬がかけられており、被災地の人々を想う林の心情を象徴していた。林の過去の作品の中に、震災が起きた日、制作の手が止まり、未完のままとなったものがあるが、林は京都に居て、なお東北の人々を想うのである。
コロナ禍にあって、なお、遠く離れた人々のその後を想う心情が、これらの作品を生み出したのであろう。戦争を美化するつもりは微塵もないが、戦争体験という大きな試練を乗り越えた九十三歳だからこそ作ることのできる世界かもしれない。人は年齢を重ねるにつれ、身体的には様々な支障も出てくるものとは思われるが、作家が、生涯作り続ける意義は確かにある。いずれこの展覧会が、三桁の連続する名称となるまで続くことを期待している。
〔外舘和子 多摩美術大学教授・愛知県立芸術大学客員教授〕

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京都新聞 2021年5月22日(土)美術版 ≪催し・アートスクエア≫ に掲載された記事

林康夫、中馬泰文、木村秀樹の3人展「group93 / 81 / 72」がギャラリー揺(京都市左京区銀閣寺前町)で開催されている=(写真付)。
展覧会タイトルの数字は、3人が今年迎える年齢を表している。陶芸の林は、近年取り組む「東北」シリーズを出品した。東北大震災で被災した福島県浪江町で見た家屋がモチーフ。壁がゆがみ倒壊しそうな家がぽつんと建つ様子に、すさまじさを感じたという。
中馬はシルクスクリーンでボタンを描いた紙に、刺しゅう糸を縫ってステッチを表現した遊び心ある連作。幼時の裁縫の経験から思いついたという。
木村はシルクスクリーンの手法を使ったアクリル画。抽象的に描かれた富士山が版画を思わせる一方、絵の具を何層にも塗って、表面を削る研ぎ出しの技法で色彩に深みを持たせた。30日まで。月休。無料。(京都新聞社・前芝直介)

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福島県浪江町は、2011年に東日本大震災で震度6強の揺れと15メートルを超える津波による被害に加えて、福島第一原発事故の影響を受けました。それまでは自然に恵まれ、海と山と川に囲まれて歴史と伝統を大切にしながら2万人余りの人々が暮らしている町でした。被災後の多くの住民は避難し、帰宅困難地域が町内の大半を占め、人口は大幅に減少しました。(2020年3月時点で1100人余りが居住)  展覧会中、「浪江町の景」と身近に接しているうちに、この災害を他人事とは思えなくなりました。

東日本大震災の復興への長い道のり、一日も早い平和な暮らしを祈っています。

今年のgroup展開催に感謝し、また来年の三先生方の御作品の御出品を楽しみにしております。マスク着用で大勢の方々にご来廊頂き、興味深くご高覧くださったことを嬉しく思っております。ありがとうございました。(三橋登美栄)


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06/09 14:35 | 展覧会
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