美術作家 三橋登美栄
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ギャラリー揺 シリーズ企画「光と影」 IV
岩村俊秀展 ―石層―「The First of a Billion」(2009.10.27~11月8日)を終えて シリーズ企画「光と影」 IV は山本哲三先生ご紹介の石彫作家・岩村俊秀さんです。 素材は花崗岩より硬くて重い閃緑岩センリョクガン(能勢石)で、展示総点数は9点です。 ![]() 板間の作品 石層ー月 翔けし Stone StratumーThe flap of wings in the moonlight 石層ー昇華 Stone StratumーHe had sublimated 石層ー月と水の関係 Stone StratumーThe relation between moon and water 和室の作品 石層ーBOSATUS of the moonlight 石層ーBOSATUS of the sunshine 石層ー月のうた Stone StratumーThe red moon sang 石層ー晩秋に来る人 Stone Stratumーkeep the late autumn in your mind 庭の作品 石層ー月想いし Stone StratumーAt the thought of the moon 石層ー日出ずる時 Stone StratumーA corona ![]() ![]() 今年のシリーズ企画テーマ「光と影」から、「全作品に照明を入れよう」と最初に決めて、この空間に合わせて制作されたと伺いました。光を入れることによってできる影を含めての作品で、「作家が意図しないところで鑑賞者の心を動かせたい」思いが込められています。 「昇華」は上昇の形としてのS字構造から、子どもを抱くお母さんのイメージの作品で、仏像のようにも見えるそうです。日本人が持っている仏教の精神性と石の重さを感じさせない浮遊感の表現を求めて制作の日々が続いたことと思います。 不可能に近い高度な技術から、石とは思えない軽いイメージが生まれることに対しての驚きの声が多かったです。 『 風が石をえぐるように、水が石をまるめるように、土が石をつつむように 』の言葉は、岩村さんのファイルから引用しました。 続いて岩村さんから伺った「縁側の話」の説明を少し。 『縁側とは、よくいったもので、家の内側でもなければ外側でもなく、誰かが裏木戸を開け、「こんにちは」と声をかければ、そこで話がはじまって。事と次第によっては、縁側だけで話は終わり、また場合によってはお茶やお漬物がでて。さらに興がのったり、話がこみいってくれば、「ここで話もなんですから」と、はじめて家に通される。』 このような縁側の縁から「ご縁があって」という言葉も最近はあまり耳にしなくなり、人との関わり方も随分希薄になったようですが、ギャラリー揺では、庭に面して濡れ縁床几を設えています。良いご縁が生まれる空間として活動を続けたいと思っています。 展覧会中の玄関は、初個展御祝の華やかな花籠がずらりと並び花々の香りに包まれ、岩村さんご夫妻は沢山の来廊者に囲まれてとても楽しそうに会話が弾んでいました。 ![]() 話題の締めくくりは岩村夫人・真季さんです。 「学生の頃は、手にノミと石頭を持って石を削っていた」と真季さんから伺いました。 実は、奥さんは岩村さんと同じ大学の2年後輩で、そこでお二人のお付き合いが始まり、石への興味から岩村先輩への愛情が芽生え現在に至っています。今は石から離れて自宅で「アトリエにんじん畑」を主宰。児童絵画、絵手紙、グラスリッチェン、トンボ玉を指導されています。詳しい情報はインターネット「にんじんにっき」「アトリエ にんじん畑」をご覧ください。 展覧会中は、お二人で揺に来られて、真季さんとは身近な話題に共感して大笑い。 とても楽しい2週間でした。 ありがとうございました。 スポンサーサイト
11/23 22:23 | 展覧会 |