美術作家 三橋登美栄
|
|
新井九紀子展(2018.10.16~21)を終えて
当画廊で初めての新井九紀子展「ことばの肖像。」 たぶん2年位前に夫が新井さんにお声かけてしたご縁で、開催させていただきました。 夫が企画した最後の展覧会です。 ≪展示作品≫ 1 未生への透視図 58.0×58.0cm パネル 2016年 2 遊行 弐 39.1×64.5cm パネル 2018年 西行和歌 3 秋篠月清集 68.4×51.5cm パネル 2018年 藤原良経「秋篠月清集」 4 遊行 壱 31.7×44.0cm パネル2018年 西行和歌 5 麗はしき距離 15.0×25.0cm 額 2017年 吉田一穂「母」 6 霧のにほひ 63.0×19.0cm パネル 2018年 7 星宿 103.0×7.5cm パネル 2018年 8 意識ある蛋白質 75.0×42.5cm パネル2017年 宮沢賢治「青森挽歌」 9 アリス狩り 68.4×51.8cm パネル2018年「不思議の国のアリス」ルイス・キャロル 10 銀河の序 11.5×24.0cm 額 2016年 芭蕉「銀河の序」 11 たとえば 66.0×51.5cm パネル 2018年 12 水中花 64.0×66.5cm アクリル 2006年 伊東静雄「水中花」 (「水中花」は恩田陸著「六月の夜と昼のあわいに」の装丁になる) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() …………………………………………………………… 新井九紀子 略歴 1996〜2018 個展20回(京都・東京・ロンドン) 1994 二人展(ウィーン) 2002 日・仏現代作家展(東京・パリ) 2003 吉原治良賞コンクール展(大阪) さかいでARTグランプリ賞展(坂出) 2004 プリンツ21グランプリ賞展(東京) 日本アートアカデミー賞展(東京・大阪・福岡) 2005 サロン・ドトンヌ展(パリ) サリュ展(パリ) 2007〜 書と非書の際展 作品集「ことばの肖像」vol.1 ~ 5 発刊 …………………………………………………………… 京都新聞2018年10月20日朝刊(美術欄)掲載記事 新井九紀子展(揺=銀閣寺前町 21日まで)墨と和紙を素材に、詩や句、文学の言葉を着想とした書画。抽象絵画のような画面に文字は見えないが、繊細な線や墨の濃淡を通じ、言葉の気配が立ち上がる。 (平田剛志・美術評論家) …………………………………………………………… 新聞記事は他、朝日新聞10月4日、読売新聞10月13日にも紹介される。 …………………………………………………………… ギャラリー揺と三橋實さん 個展会場にそっと現れて、黙って作品をご覧になり、三橋実と署名して帰られるということが何度かあって、2016年にギャラリー揺でも展覧会をしていただけないかとの打診の手紙をいただいて、2018年にということになった。2017年の展には病を押して観に来て下さったのだが、今年(2018)ギャラリー揺での展には三橋實さんは彼岸にあつて、直接お話しすることが出来なくなっていた。それでも、会期中自然と一体化したようなギャラリー揺の空間にいると、閑かな三橋實さんの眼差しを不思議と感じるのであった。小林秀雄風に言えば逝った人は確固として胸に在るからだろう。 そのような縁があって、いまおひとりで画廊を継続してられる登美栄さんとは話しが弾んだ。登美栄さんの心に残る本として「abさんご」を上げられ、未読だったのでお借りした。その中の文に、死者が帰ってくる時のしるべにつるす灯り入れは「たましいぐらいに半透明に、たましいぐらいの涼しさをゆれたゆたわせた.」という文を読む。 詩人や作家たちによって紡がれた言葉の美しさに魅かれて作品を創っている私はここにまた魂を震撼させることばに出逢ったのである。(新井九紀子) …………………………………………………………… 心に響く言葉を選んで思索を重ね、和紙の上に文字ではない形象が表れる瞬間、またその形象が表れる前を追体験したくなりました。伝統的な書道から距離を置いて、文字からの束縛を解き、現代美術への移行。厳しくて自由な異次元に向かわれる新井さんの強さに脱帽です。秋の夜長に、今展の作品に引用された「銀河の序」か「六月の夜と昼のあわいに」を読んでみたいと思っています。(三橋登美栄) スポンサーサイト
11/05 12:48 | 展覧会 |