美術作家 三橋登美栄
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亀谷彩漆作品展 ―あめつち つなぐ―(2016.10.11~23)を終えて
『四季の塔、背に梯子を立てたひつじの群れ 塔を行き交うひつじが天と地をつなぐ』 ![]() どこかの自然空間を切り取ってこの会場に届いたような四つの展示台から物語は始まります。 塔と羊と空の道具は板間と畳の間に広がり、鑑賞者は梯子を使って天に昇ります。 ![]() 羊の群れは奥へ、奥へと導かれます。 ![]() 朴ノ木の板を組み合わせた上に寒冷紗を張って(布着せ)漆を塗って仕上げ。象嵌の貝は夜空の星。 ![]() 真鍮に金箔を貼った梯子を登ると雲や三日月が近づきます。 ![]() ![]() 粘土で羊の形を成形して焼成後、漆を塗って金箔を貼って仕上げ。 羊の背中の草原で散策中の人達。 ![]() 背に梯子を立てた一番奥の羊は、リーダーのように壇上に佇んでいます。 ![]() ………………………………………………………………………………………………. 実際の羊の群れは、みな同じ方向を向いているそうです。群れの中のどれか1頭が危険を感じたり、何かに気づいて反応すると、他の羊もみんな追従します。たとえば1頭が走り出すと、全頭が一斉にあとに続いて走ります。羊にとって「自分だけ別の行動をする」ことは非常に不安なことで、1頭だけになるとパニック状態になり、捕まえるのも難しいです。こうした習性は羊の群れが狼などの敵から素早く身を守る大切な習性ですが、群れの最後のほうにいる羊は、自分がなぜ走っているのかさっぱり分からないでしょう。さらに、羊は羊飼いに連れられて毎日行き来している道を1頭では行きも帰りもできず、すぐ迷ってしまうそうです。 ………………………………………………………………………………………………. ![]() ![]() 手を付けることで、空の道具(そらのぐ)に変わります。 ![]() 四季の塔の窓から毛皮の毛が覗いていると、生き物がいる気配がします。 ![]() 漆作家、漆教室主宰、そして子育て、と一人何役も引き受けて充実した日々を過ごされています。 ≪亀谷彩漆作品展 うみつちひとそら≫ 2016年11月16日~27日の紹介です。 出雲市育ちの漆芸家・亀谷彩さん。作家活動20年を記念する展覧会が出雲文化伝承館で開催されます。漆芸の様々な技を用いて作りだした「ハレノグ」と名付けられた道具のようなオブジェは、非日常的でハレなる世界をイメージさせ、わたし達を夢と現実のはざまに漂う幻想へと誘います。展覧会連動イベント、モノがたり芝居『そーぶ、あじぇめと、にー』11月19日・20日も、作品展と合わせてご覧ください。 今後も漆作品で不思議な世界を表現される亀谷さんの新作を楽しみにしています。 どうぞご活躍ください。 (三橋登美栄) スポンサーサイト
10/29 13:03 | 展覧会 |