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笹谷晃生展 ―枯草転生の庭―を終えて
笹谷晃生展 ―枯草転生の庭―(2016.6.13~25)を終えて

ギャラリー揺で3年ぶり、4回目の展覧会です。

≪展示作品≫
1 双曲景No.6321    
2 平花曲景(8点)No.6364~6371
3 撓花曲景No.6363
4 平花景(7点)No.6335~6341
5 曲景(7点) No.6338~6330 No.6342~6345
6 枝景No.6327
7 花景草本(10点)No.6323~6325 No.6346~6352
8 枝景No.6326
9 曲景No.6333
10 曲景No.6332
11 曲景No.6331
12 撓花景(7点)No.6356~6362
13 枯草A(室内)1,371本
14 枯草B(庭)176本

入口 入口 作品「双曲景No.6321」

展覧会場
静かに広がる銅の枯草空間と、点在する鉄の植物に眼が留まるインスタレーション展です。
刈り取られた葦が束ねられている風景に見えたり、床に置かれていても生い茂っている葦原にも見えたりします。枯草の黒い根が連なる曲線は波打ち際のように対岸まで続きます。

作品 平花曲景 作品「平花曲景」
架空の植物は自由に動き出し、鉄や銅の金属で作られていることを忘れてしまいます。

和室展示
作品 曲景、枝景 作品 枝景
作品「曲景No.6333」(左側)、「枝景No.6327」 作品「枝景No.6327」
枯れた根の近くでは、次世代の新しい芽が育っています。

庭展示
作品 撓花景 枯草(部分)
銅の赤色と錆色、銀ロウの銀色が雨に濡れて光っています。

夕陽
夕陽が差し込むと、過去の世界が蘇るかのように銅の輝きが増します。

笹谷晃生氏
作品について語る笹谷晃生氏

イワシャジン
イワシャジン
揺の前回展覧会のお祝いに鉢植えが届き、イワシャジン(岩沙参)一株を頂戴して庭に地植えしました。イワシャジンは多年草で山地の岩場に見られ、人気の高い山野草の一つです。夏に花芽が成長し、秋には次々と花を咲かせます。花が終わると、茎は枯れて栄養葉を広げます。冬前にはその葉も枯れて地表に出ている部分は見えなくなりますが、冬の間は地中で根が生きています。翌年春に発芽してイワシャジンは再生します。
イワシャジンから再生の話に飛びましたが、植物の再生と輪廻転生の意味を重ね合わせて作品を拝見いたしました。自然界の生命に関心を寄せて、表現を続けてこられた笹谷さんの積み重ねが凝縮されている展覧会でした。

金属での植物表現を長年追求されている笹谷さんの今後の展覧会を楽しみにしています。(三橋登美栄)

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京都新聞2016年9月24日朝刊(美術欄・ギャラリー)掲載記事
笹谷晃生展(揺=銀閣寺前町25日まで)床に横たわる1400本余りのまっすぐな銅線と鉄の芽のオブジェ。金属で表現される生命力。(沢田眉香子・著述業)

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最後は笹谷晃生さんの文章で締めくくらせていただきます。

≪展覧会を終えて≫
 この展示では、当初は立ち姿の草の作品として銅線から作りだし、時間の経過の中で解体したことで枯れ草の姿へと変化したその銅線を床に並べました。そのことから横たわる絵画とも言えるものが床の平面に現れるという、これまでと異なる体験をしました。
 今思い返すと作品発表を始めたごく初期から空間と作品の関係には強いこだわりを持っていましたが、床の平面性を意識したことはほとんどありません。私がつくりだす架空の植物も当然生きているものであって、根に支えられて「立ち上がる姿」としてつくり、それらを様々に取り合わせて配置することで彫刻としての植物が独自の景観を形成するという表現であったためだと思います。
 今回の個展のこの体験は私の今後の作品の展開に、何かこれまでとは異なる視点をもたらしてくれそうな期待を感じさせるものでした。この経験を生かし、これからも架空の世界の新たな植物と独自の景観を探し続けるつもりです。(笹谷晃生)


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09/26 23:31 | 展覧会
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