美術作家 三橋登美栄
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ギャラリー揺10周年記念シリーズ企画RESONANCE 5(2015.9.22~10.4)
野田凉美・和田聡展を終えて ……………………………………………………………………………. 庭のヤマボウシの実が赤く色づく季節になりました。丸いツブツブした実を食べるとバナナに似た南国系の味がします。ヤマボウシの甘味はジャムによく合うそうですが、大量にないと満足に作れないのが難しいところです。 ……………………………………………………………………………. ≪展示作品≫ 野田凉美 1 西陣平箔 2 西陣竹筬 3 くず湯 4 屏風 和田 聡 1 オーク 2 シカモア ………………………………………………………………………………… ![]() 和田聡作品「オーク」(写真中央) ![]() 西陣帯の端切れを裏返して、掘りコタツ跡に敷き詰めたインスタレーション。 ほつれた金糸が動き出してキラキラと華やかです。 ![]() 野田凉美さん ![]() 野田凉美作品「西陣平箔」部分 ![]() 野田凉美作品「西陣平箔」裏面部分と野田さん ![]() ![]() 野田凉美作品「西陣竹筬」金箔仕上げと作品「西陣竹筬」部分 ![]() 和田聡作品「シカモア」 ![]() 野田凉美作品「屏風」 ![]() 障子戸を閉じると、それぞれの作品は障子の桟や畳の縁と共鳴。 ………………………………………………………………………………… 「くず湯」について 最近の食事は華やか過ぎて毎日がご馳走です。 娘が、「うちのご飯はレストランみたい」と食べる前に写真を撮ったりします。 昔は、卵とバターをたっぷり使ったクッキーなんてどこかからの頂き物がないと 口にすることもなかったのに。 嬉しいけどあれれ?? なんか私間違ってる? ここはどこ? 普段がこれじゃあハレの時はどうするの?? 現代は、ハレもケもないんですね。 子どもの頃に風邪を引くとくず湯でした。 ほのかに甘くとろみがありホッとします。 葛はどこでも見かけた植物です。 今は、雑草扱いですが、昔から葛の根は生薬の原料や食用に、ツルは繊維として織物やかごに 葉は飼料に使われてきました。万葉集にも数首「葛を引く」と繊維を作る様が出てきます。 素材は、豪華な西陣の帯とくず湯ラベル、紋紙、金糸、平箔などサンプルや残り物、廃棄物です。 私は、こういった物から過ぎた時代と現代を感じ、今一番贅沢なことは、手の仕事だなあと思うのです。毎日がニコニコハッピーなハレの日々よりも、時間を決めず一人過ごすことや静かにいることの方が佳いことだと感じながら分刻みで動こうとする私にとって、この仕事は身体と心を元の正常な状態に戻す行為に他なりません。(野田凉美) ……………………………………………………………………………………………………….. 京都新聞2015年10月3日朝刊(美術欄)掲載記事 ≪野田凉美・和田聡展≫ 西陣の帯などの端切れを集め、金糸で編んだり「くず湯」のラベルを貼ったりすることで、和田の作品には瀟洒な華やぎと日常が同居し、和田のシャープだが温かみのある家具とが響きあう。(加須屋明子・京都市立芸術大教授) ※ 新聞掲載の和田は野田の間違いです。訂正させていただきます。 ……………………………………………………………………………………………………….. ![]() 野田さんも和田さんも、それぞれ自由に制作を続けられることと思います。 これからのお二人の新しい展開を楽しみにしています。どうぞご活躍ください。 野田凉美HP:http://suzuminoda.com/ ……………………………………………………………………………………………………….. 今回の5回目RESONANCE展で、当ギャラリーのシリーズ企画は終了いたしました。 この秋から11年目に入り、また新しい気持ちで画廊運営を計画しています。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。(三橋登美栄) スポンサーサイト
10/12 15:48 | 展覧会 |