美術作家 三橋登美栄
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ギャラリー揺 シリーズ企画「光と影」III
吉村美智子展 ―陶―「日常のシルエット」(2009.9.15~27)を終えて ![]() 北本裕二さん推薦の吉村美智子さんにギャラリー揺のシリーズ企画展出品をお願いしました。ご承諾頂いた後に、ご懐妊のニュースが舞い込み今年2月22日・猫ニャンニャンの日に男子(4kg)をご出産。その時の感想は「バリ バリッ!と痛かった。」そうです。ご主人様似の元気な赤ちゃんの名前は「虎ノ輔」君です。本当におめでとうございます。 その日から制作と育児の2本立て生活が始まり、以前とは違う時間が流れ、日常の小さな変化を見つめ直し、限られた時間の中から湧き出てくる感情を昇華させる日々が続いたことと思います。子育てに追われて制作が儘ならないかなと心配しましたが、「案ずるより産むが易い」の諺の如く「日常のシルエット」の作品が無事に生まれました。 作品は玄関、板間、和室、庭の4ヵ所に展示。 作品の特徴は、釉薬をかけない磁器の肌合いで、思わず手を差し伸べて触れたくなります。 案内状の写真・虎ノ輔君の手を思い起こさせる柔らかな膨らみや優しいフォルムが印象的です。 ![]() 日常的な物のシルエットの作品「ピッシャン」は水の跳ね返りのイメージです。 庭に展示の作品「空」は隙間の形を表現しています。この作品から隙間の「雲の形」をイメージするのは解説なしでは難しいです。この隙間に対峙して物と物の関係、隙間の必要性と意味を考え直す機会を与えてくれる作品でした。様々な隙間を連想して「空の隙間」から横道に逸れますが、随分昔に私が石垣の隙間を描いたことを思い出しました。隙間は心の隙間にも通じる思いで、隙間の大切さを表現したかったのでしょう。 次に吉村さん語録をいくつか紹介します。 「自分の中に蓄えられた一瞬一瞬の感動を誰かと共有することは難しい。」 「自分の中に留めた感動をいつ吐き出したらいいのか?」 「例えば影を美しいと感動したその瞬間を抽象と具象の狭間に作品として留めたい。」 「日常生活の無意味を伝えたい。」などが印象に残りました。 最後に吉村さんのエピソードを1つ紹介します。 京都造形芸術大学 大学院合格通知を手にするや否や、この先の2年間の変化の少ない生活 に甘んじてはいけないと思い、突然「留学」を計画。そして大きな環境の変化を求めてスイスへ3ケ月間留学して、貴重な体験をして帰国、学んだ陶芸の技法は今に繋がっているそうです。 ![]() 行動力があり、可能性の多い吉村さんの将来を見守りながら、 今後のご活躍を楽しみにしています。 初個展 お疲れ様でした。 スポンサーサイト
11/02 00:33 | 展覧会 |