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扇 千花 展(2013.5.21~6.2)を終えて
扇 千花 展ー余白が生まれるー(2013.5.21~6.2)を終えて

展示会場1
展覧会場1
「余白が生まれる」展の説明は難しいです。が言葉の説明不要のインスタレーション展なので、会場の空気感をゆっくり体感して頂く展覧会です。

展示会場2
展覧会場2
でもインスタレーションに不慣れな鑑賞者には、一見捉えどころのない空間表現かもしれません。
「図があることによって地が現れてくることに興味があります。地と図の関係性で、空間を表すために図が必要になります。」と扇さんは話されます。

クッション
麻布のクッションは発泡バインダーに顔料を混ぜてプリントしています。レース編みかと見間違う理由は素材感を大切に制作されているからでしょう。この空間に置かれたクッションとクッションの余白に鑑賞者が佇むと、空気感は大きく変化し、感性に任せて感情が動き始めるとインスタレーションの物語が展開します。

クモの巣
蜘蛛の巣? キノコ? 自由な発想で観賞できます。

謎の生命体
水中に漂う謎の生命体にも見えます。

水面に浮かぶ
石畳に木洩れ日が落ちると、庭は水に満ちた池に変わり作品は水面に浮かびます。
水中の余白は空気の泡、空気中の余白は水滴です

吊り下げる
和室に吊り下げられた作品は庭の苔に生えた作品と共鳴します。

例年より早く梅雨に入り、庭の木々はより複雑に深い緑色に変化し、水滴に輝く作品は成長します。
いつもは風や太陽が揺らぐ空間ですが、今回は水への意識が加わった展覧会です。

どこからか音も無く歩いて来られる静かなイメージの扇さんの無意識の世界は水の中に例えられます。
そこは社会の常識もルールも無く現実から切り離されていて、扇さんは水を得た魚のように自由に、解き放たれた空間で思考と制作を今日まで続けて来られました。
今後のご活躍を楽しみにしています。

最初に説明不要といいながら蛇足文を書きました。

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京都新聞2013年6月1日朝刊(美術欄)記載記事
扇千花展
レース地模様がプリントされた、優しい色合いのクッションが室内に点々と置かれ、天井からはレース模様の針金状の作品がぶら下がる。庭に面したガラス戸は広く開かれて、庭にも所々にキノコのように、レース模様の針金が生える。外と内とがうまく結び付けられ、「余白」の放つ余韻を楽しめる。
                        (加須屋昌子・京都市立芸術大学准教授)

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06/03 13:37 | 展覧会
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