美術作家 三橋登美栄
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ギャラリー揺 シリーズ企画「ズレ」Ⅱ その1
北本裕二展(2013.3.19~31)を終えて 2008年のシリーズ企画「ズレ」展はユニークな面白さが功を奏して「一回だけで終わるのは惜しい!」の声に応えて、同じメンバーで5年後の今年に「ズレ」Ⅱ展を開くことができました。 ![]() 会場入口 ![]() 板間展示 ![]() 「Sui-hei」 一輪挿しのようなオブジェ ![]() 「ZURE」 蓋物のようなオブジェ ![]() 「Stripe」 ピンクの茶入れ ![]() 「Stripe 附子」 毒釉薬の茶入れ 附子(ぶす)とは、『主人が太郎冠者と次郎冠者に附子という毒の見張りを命じて外出する。二人はそれが実は砂糖だと知ってなめ尽くしてしまい、わざと主人の大事な物を壊して、附子をなめたが死ねなかったと言いわけする。』という狂言の演目の一つ。 附子と命名された茶入れに抹茶を入れて一服のお茶を頂くのは、千利休の茶道にも繋がりそうです。 ![]() 「Stripe」 茶入れ ![]() 「Stripe」 茶入れ ![]() 「山のあなたに」 壁掛け ![]() 「Stripe」 茶入れ ![]() 「シトロエンの灯り」 ![]() 「エトワール」 ![]() 和室展示 ![]() 「Stripe」 茶入れ ![]() 「Stripe」 茶入れ ![]() 「Stripe」 茶入れ(私のお気に入り) ![]() 「Stripe」 茶入れの蓋はキノコ ![]() 「Stripe」 花入れ ![]() 「ZURE」 ![]() 「ZURE」 室内の畳、庭の砂利、苔の上へと4個が繋がります。 ![]() 「planet No10」 第10番惑星・アステロイドベルトはアニメ「宇宙戦艦ヤマト」に登場。火星と木星の間の小惑星帯のことではなく、冥王星の外周にある第10番小惑星帯で、第10番惑星の成れの果てと考えられています。ヤマトがシュルツ艦隊を破ったところで、実際にエッジワース・カイパーベルトと呼ばれる小天体の帯が存在すると考えられています。 ![]() 「麦畑」 ミステリーサークル 英国を中心に世界中で報告されているミステリー・サークルは、穀物が円形(サークル形)に倒される現象や、その倒された跡です。英語ではクロップ・サークル(Crop circle)という呼称が一般的です。1980年代に謎の現象として注目され、宇宙人説をはじめとするさまざまな原因仮説が示されましたが、1990年代に入ってからは、製作者自身による告白や、超常現象懐疑派による検証が進み、人為的なものと考えられています。 ![]() 庭展示 満開のトサミズキとコラボレーション ![]() 「続・モーロックの都市計画」 イギリスの小説家H.G.ウェルズの処女小説「The Time Machine/タイム・マシン」に登場するモーロック。1895年に出版され,現代SFの先駆となりました。非ユークリッド幾何学や新たな時空論の発展を踏まえ,時間もまた移動可能な空間(第四次元)であるとする説に着想を得た中編で,スクーター型の航時機に乗り802701年の未来に到着した男を描いています。そこでは人類が子どものように弱々しいエロイと野蛮な地底人モーロックとに分化し,退化滅亡への道をすすんでいました。地球の暗い未来を予言したこの作品は,おりからの世紀末的終末感とも一致し,地底で機械を操作するモーロックに都市労働者の末路が映されるなど社会風刺も鋭く評判を呼んだ小説です。 ![]() 「続・モーロックの都市計画」 時間や空間を地底人や宇宙人からの視点で捉えて創作される北本さんは、地球人とのズレの橋渡し役のようです。2006年にギャラリーはねうさぎ(京都)で「踏む作品」を拝見して以来、今後も衝撃的な新作が生まれる事を楽しみにしています。 最後は、北本さんの文章で締め括らせて頂きます。 .................................................................... 2008年。当時僕は27歳だった。大学卒業後、四年間勤めた母校のアシスタントを退職してからは初の個展。それが『ズレ展』だった。当時は若さと、とにかく「自分の為だけの」時間というものに、小躍りしながら作品をつくっていた。見たくないものは見なくていいや。見たいものだけを見て。なんてな具合にいたら、今まで気づかなかった世界が広がるようで、高揚していた。そんな気分から、「これまで」と「これから」との、視点の違いなどが『ズレ』となった個展だった。 2013年。あれから5年。今年で32歳になる。いつの間にか、いい加減な年齢になったものだと思う。再び母校に戻り、これまた四年間勤めた非常勤講師を退職してからは初の個展。それが『ズレⅡ展』だった。でもあの頃程には若くない。5年前には見たくなかったからか、見ていなかったか、いや本当は見えてすらいなかったのか。そんな5年前の僕と、今の自分との違い、『ズレ』を探る。その一番大きな『ズレ』は今は「小踊りを止めて、考えることができる」ということだと気づいた。と同時に、今の自分も5年前の僕も、子どものころのぼくに乗っかっているのだなと、また気づく。 二十年以上前のぼく。近所の崖が好きでいて、SF小説が好きだったぼくにだ。乗っかっているんだ。何日も何年もかけて積み重なってきて。さながら地層のようになった僕に乗っかってる。でいまキーボード打っている自分がさらにそれに乗っかってる。 小躍りしていたら、たまになんかの拍子でこのあしもとが崩れて、ひょっこり。あの頃の僕には気づかなかったものにまた気づくかもしれない。そう思う個展となりました。ありがとうございます。 (北本裕二) スポンサーサイト
04/01 00:21 | 展覧会 |