美術作家 三橋登美栄
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ギャラリー揺 シリーズ企画「still expecting」2
新宮さやか展(2012.4.3~15)を終えて 約2年前に新宮さやか展の案内状の作品写真を見た時の衝撃が大きくて、作品を拝見するまでもなく、当画廊でのシリーズ企画展参加をお願いしました。 今回の展示作品は新作14点です。(室内に12点、庭に2点) ![]() 展覧会の初日は、午後から暴風雨と雹をともなう温帯低気圧が通過して、庭の展示作品の一部が破損する披害が起きました。日本各地でも突風による大きな被害が起き大変な一日でした。 ![]() 作品「蝕花」 新宮さんに制作方法をお尋ねしました。 ・半磁土に、パーセンテージの異なる顔料を混ぜ込み、灰から黒のグラデージョンを作る。 ・手びねり成形で、土台となるフォルムを成形する。 ・乾かないうちに、指先で尖らせた土を一本一本、植え込むように増殖させていく。 ・乾燥、素焼後、施釉して1230度から1240度Cにて本焼 気が遠くなるような、果てしない作業が続き、時間との戦いから生まれた作品です。 ![]() 作品「蝕の陶」 今にも歩きだしそうで、蜘蛛にも蟹にも見え、ユーモラスな表情も合わせ持っています。 ![]() 作品「触」 無数の突起のうねりがリズミカルです。軟らかいのか堅いのか見た目には判断できないので、棘の先端の白色部に触りたい衝動に駆られます。 ![]() 作品「蝕の陶」 植物の花弁のようにも、海底の謎の生物の触手のようにも見えます。 色々な有機物に見える形体が魅力です。 ![]() 作品「蝕の陶」部分 具体的なイメージから離れて、植物とか動物とかを超えた生命体のような「うねり」が表現されています。 ![]() 作品「触」 小さければ、「コサージュのように服に付けてみたい」という声がよく聞かれました。 ![]() 木洩れ日が射し込むと、作品はより動物っぽく表情を変えます。 ![]() 作品「蝕の陶」 触手を使って石畳の上を歩いてるように見えます。 ![]() 作品「蝕の陶」 何処かに向かって立ち上がって行く中心部のエネルギーに圧倒されます。 ![]() 新宮さやかさんは、今後の展開が期待されている有望作家の一人で、これからは海外での展覧会も経験して、大きく世界に羽ばたかれる日を楽しみにしています。 ![]() 「今なお、予期している」意味のテーマ「Still Expecting」2の展覧会が始まった頃は、まだ蕾だった桜ですが、最終日にはすっかり満開になり、銀閣寺界隈は大勢の観光客で大賑わいです。 揺は、その雑踏から離れて哲学の道を一筋北に入った静かな生活空間に作品を展示し、アートと共に過ごす空間を意識するギャラリーでありたいと思っています。 スポンサーサイト
04/19 21:09 | 展覧会 |