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グループ展 空華 KUGHE を終えて
グループ展 空華 KUGHE (2022.11.1~13) を終えて
12:00~18:00(最終日17:00) 7(月)休廊

今井康雄 竹内淳子 中尾美園 三橋登美栄

「空華(くうげ)」とは空中に咲く花のことで存在するはずのないものを指すのだそうです。本来は、病んだ目で空中を見るとあるはずのないものが見えてしまうものだ、という意味であり、様々な悩みや迷い不安や悲しみ、苦しみも全て実体のないものにすぎないのではないかということだそうです。
また、禅の世界では、実体のないものへの囚われをなくすことだそうで、道元禅師著の正法眼蔵「空華」の巻で『ありとあらゆるものが真実であり、空として成立しているのであり、そしてこれを理解したと思ってはならない』と説かれておられます。
4人の作家が各者各様、「空華」という言葉を与えられて難解な禅問答を繰り返しながら「空」に迷い、「華」を感じながら制作いたしました。それぞれの「空華」を感じながらご高覧頂けましたら幸いに思います。(空華KUGHEのフライヤーに掲載)

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ギャラリー揺 入口

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今井康雄 壁面左から作品「Anemone」「Chrysanthemum」

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今井康雄 左から作品「HelleboreⅠ」「HelleboreⅡ」「HelleboreⅢ」「HelleboreⅣ」

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竹内淳子 作品「白のドルマ」

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中尾美園 作品「Mother Code 2」

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今井康雄 作品「Still Life (Flower Vase) 」

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三橋登美栄 手前左から作品「雲影3」「雲影1」

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竹内淳子 作品「花影」

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竹内淳子 作品「白い花」

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竹内淳子 作品「散華」

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今井康雄 左から作品「Rose (Tropical Sherbet) 」「Tulip (Angelique) 」

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中尾美園 作品「宇宙人 模写(部分)」

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中尾美園 作品「Mother Code 1」

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今井康雄 左から作品「Aquilegia」「A Tulip (Angelique) 」

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三橋登美栄 作品「雲影2」

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竹内淳子 作品「蛟(みづち)」

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今井康雄 左から作品「Anemone」「Chrysanthemum」

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左から中尾美園 作品「土づくり」2022 今井康雄 作品「Rose (Tropical Sherbet) 」「Tulip (Angelique) 」

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中尾美園 作品「土づくり」2022

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京都新聞2022年11月5日(土) くらし欄 に掲載された記事

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左から竹内淳子さん、中尾美園さん、三橋登美栄 

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「空華」展を終えて
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突然のグループ展のお誘いに戸惑いはあったものの、ギャラリー揺の美しい空間で、テーマを決めたり、ミーティングをしたりと、特別な時間を味わえた。
特に今井氏が提供してくれたテーマ「空華」という禅の言葉には心惹かれた。深い意味は理解できていないが、移ろいゆく人の想いが華だとしたら、それは咲いたかと思うと、はらりと散ってしまう。
絵かきはその華を絵にするんじゃないかと、グループ展が終わって想いは深まっている。偶然のように集まった4人の作家が不思議な調和を描けたのは、「揺」という美しい空間を守ってきた三橋ご夫婦の深い愛の為せる技なのかもしれない。(竹内淳子)

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今回の出品作品は娘と二人で作ったもので、展覧会後は家に飾っている。手を動かしながら、二人で色んな話をした。飾ってある絵をみる度に、共有した時間や記憶が心に内化され、いつかその欠片が浮びあがり、別の何かつながっていくのかと想像している。(中尾美園)
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  一緒に同じものを見聞きしていても、人それぞれに見えているもの、感じていることが違います。それぞれが違う空間をそれぞれが創っています。自分の世界に見えているものは、自分が自分の世界を創造しているもので、他者の世界に見えているものは、その人がその人の世界を創造しています。「空華」が見え隠れする今回のグループ展は、四名それぞれの摩訶不思議な創造空間でした。この展示は2週間で終了しましたが、これからも日々の制作は続きます。それぞれの新作を楽しみにしています。

 自分の世界を創造することができる「今」の時間と空間と「全て」に感謝しています。(揺 三橋登美栄)

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IMG_E8913.jpg今井康雄さん

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「空華」展を終えて
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 まず始めに、今回は位置合わせの段階から展示中、そして搬出にいたるまで、終始、私事で、ギャラリー揺の皆様、三橋さん、中尾さん、竹内さん、そしてご来場頂いた方々に大変ご迷惑をおかけしましたこと深くお詫びさせていただきます。そして、それにもかかわらず、終始ご理解を頂き、寛大に接していた頂き、無事に会を終えられましたこと心より感謝いたします。ありがとうございました。

 今回の4人展は各出品者の作風が全く違い、展示前からいったいどんな展覧会になるのかワクワクしていました。いざ、搬入となり展示作業が始まっても、お互いマイペースで、それぞれの展示場所も自然と決まり、思ったよりもすんなりと展示作業が終わりました。
 「空華」、という捉えどころのないテーマを掲げての展覧会でしたが、4人の捉え方や、制作方法、技法が全く違っているためそれぞれの個性や持ち味ははっきりと際立っていたのですが、そうかと言ってお互い喧嘩したり打ち消しあったりということもなく、それぞれの作品がそれぞれのところに、まるで、自然に草花が自分の生育に適したところにそれぞれ根を下ろして生育していくような感じに、ごく当たり前のようにそこに息づいていたのがとても印象深く、不思議な心持がしました。植栽と庭一面に生した苔の緑が美しい日本庭園から差し込む柔らかな光がそれぞれの個性を融合してくれていたのかも知れません。余談ですが、庭の苔の上にとても小さな冬蕨を数株発見し、三橋さんに尋ねましたら、もともと植えてあったものではないとのことで、余程このお庭が気に入って花が選んでここに根づいたのだなと思うと、なんだかほほえましい気持ちになりました。
 そのお庭の敷石の上に設置した私の作品は、青花という露草の一種の花びらからとった染料を刷毛で塗っては乾かして、を繰り返して作った深い青灰色の紙の上に、一つはアンジェリケというチューリップの素描を、そしてもう一つはトロピカル・シャーベットという薔薇の素描を白黒で透明のフィルムに移したものを置き、ガラス板で挟んだだけのものでした。私の当初の思惑としては、耐光性の極めて低い青花の青灰色が日光に晒されて、デッサンの線の重なりのないところは漂白されて行き、展覧会の最後のほうにガラスから取り出しフィルムを取り除くとそこには、花の画像がポジで浮かび上がっているはずでした。しかし、奇しくも、初日、午後遅くから雨が激しく降り出し、紙の表面に施した青花が流れだすという事態が発生しました。私はすでに帰宅していたので、心配した三橋さんや、竹内さんからご連絡いただき、どうしましょう、ということでしたが、どうぞそのままにしておいてください、というお返事をさせていただきました。竹内さんが期間中、随時、作品を撮影しては、流れ出した青花がまるで煙のように渦巻いている画像を送ってくださいました。日に日に姿を変えていく作品を見て最後どのような結末を迎えるのだろうと、ワクワクしながら居りました。最終日前日に在廊する予定でしたので、その時にガラスから取り出すつもりでいましたが、その日は、急な事情で会場に行くことが出来なくなり結局、それから11日後に搬出で画廊に伺うまで、そのままになってしまっていました。いざ、ガラスを剥がすときはいったいどんな画像がそこに残されているのかと、ドキドキしながらも、濡れている紙を破らないようにそっと取り出すと、セピア色の斑の染みが広がり、微かではあるけれども植物の画像がそこに定着されていました。注意深く梱包して自分の部屋で乾かすと僅かながら花の画像がはっきりとして浮かび上がってきました。お天道様に温められ、雨に打たれて、成り行き任せに出来上がったこの作品は、いったい私が制作したものと言ってもいいものかどうかと思うほどに、儚げで、繊細で、美しい。
 空華、というものがどのようなものかわからないまま、また、わかりようもないまま取り組み、展示して、会を終えて、最後の最後に、そのような形で、まるで、空からの返答のように私の手元に残ったこれら二枚の紙の上の花の画像は、私に問いかけているような気がします。いったい私たち人間は、この世の事象を、何をもって美しいといい、何をもってそうでない、というのだろうかと。(今井康雄)


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秋深まる展覧会最終日(11月13日)のドウダンツツジの紅葉


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11/30 22:00 | 展覧会
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