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北陸工芸の祭典(最終日) 2022.10.23
北陸工芸の祭典(最終日) 2022.10.23

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JR膳所駅06:28発→京都駅06:39着(乗換)特急サンダーバード1号06:59発→福井駅08:29着(乗換)08:41発→加賀温泉駅09:18着→出展作家・井上唯さんの車で那谷寺→作品鑑賞と那谷寺散策→カフェレストランHOGAでランチ12:00~13:00→井上さんの車で粟津駅→福井駅(乗換)特急サンダーバード24号14:08発→武生駅14:20着→タクシーで大滝神社→作品鑑賞と境内散策→大滝神社タクシー16:15発→武生市街→旧市街地を散策→うるしやで夕食→武生駅特急サンダーバード44号19:40発→京都駅20:54着(乗換)21:08発→膳所駅21:20着→帰宅
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山友2人をお誘いして石川県小松市までお出かけ。京都駅から特急サンダーバードに乗車すると、約2時間半後には那谷寺に到着します。
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那谷寺山門
那谷寺は717年泰澄神融禅師により開創。白山の神を信仰し、洞窟の中に千手観音を祭っています。洞窟は母親の胎内とみて古い時代より「胎内くぐり」の聖地です。新たに生まれ変わり、罪が清められると信じられました。平安時代花山法皇により岩屋寺より那谷寺と改名されました。中世には一向一揆等の戦乱で、伽藍が焼失、江戸時代、三代藩主前田利常公が荒廃を嘆き、再興されました。現在は7棟の国重要文化財と、名勝指定園があります。

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金堂華王殿
南北朝の戦火で焼失しましたが、平成2(1990)年に再建、京仏師・松久宋琳師作の十一面千手観音菩薩をお祀りしています。

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作品「痕跡」鵜飼康平
『漆は、古くから椀や箱など天然の接着剤や塗料として用いられてきた。鵜飼は、大学で漆を学び、漆を塗る・研ぐ行為の繰り返しから、偶発的に生まれる形を拾いあげ、作品として発表してきた。今回出品する作品は、那谷寺の境内で偶然出会った倒木を切り出し、過去最大規模のスケールの大きな作品を手掛ける。自然の摂理によって倒れ、参道を塞ぐ危険物として除去される運命の倒木に、新たな命を宿すことに向きあった作品である。』(公式WEBサイト情報より)


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作品「Daisy」入沢 拓
『入沢は、大学院で木工を学んだ後、独自に編み出された楔(くさび)止めの技法によって、細く切り出された木材を連結したインスタレーションを手がける。楔による連結が、組み立てや解体を容易にし、空間に対して柔軟な展開を行っている。楔止めの技法を更新し、作品に即興性と軽快さを与え、場所ごとに変容と拡張をするのが入沢の魅力だ。今回の作品は、那谷寺の書院にて、空間を自由に行き来する有機的な形態に取り組む。』(公式WEBサイト情報より)

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三尊石・琉美園
岩面が3つに裂けた姿が、阿弥陀三尊のご来迎に似ていることから名付けられました。

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前田利常が造庭奉公の別部ト斉に作らせた庫裏庭園で、細い溝の水の流れが美しいです。

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雨上がり、木漏れ日の中で苔が輝いています。境内の樹々の佇まいに1300年の歴史を感じます。

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作品「garden」新里明士
『新里は、「光器(こうき)」と呼ぶ代表作品が国内外の注目を集める新進気鋭の陶芸家である。ろくろで成形した白磁の生地に穴を開け、穴の部分に透明の釉薬をかけて焼成することで、文様が浮かび上がる「蛍手(ほたるで)」と呼ばれる技法を独自に発展させている。近年は、作品を展示台や展示空間から解放する「まる」のシリーズを新たに手がけ、作品と場所との関係性へと意識を向かわせている。』(公式WEBサイト情報より)
 
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奇岩遊仙境に窟が開口する様は観音浄土浮陀落山を思わせ、心の奥深くの「自然智」を呼び起こす景観です。
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奇岩に掘られた石の階段

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作品「山と、人と、信仰と」井上 唯
『井上は、土地の自然や風土と、そこで育まれてきた人間の営みに関心を寄せ、土地の素材や、編む、結ぶ、縫うといった原初的な手法を用いて、目に見えない繋がりや光景をつくりだすインスタレーション作品を各地で発表している。出品作品は、昔からこの地域だけでなく広く遠方からも信仰を集めてきた“白山”の存在をテーマに、「みくまりのかみ(水分神)」という山と一体化した水への信仰にも着目。分水嶺から始まり、山肌をつくり、地中や海へと繋がっていく水の流れを、地元の糸や繊維によって表したスケールの大きな作品である。』(公式WEBサイト情報より)
 
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作品「山と、人と、信仰と」井上 唯

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大悲閣(本殿)
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三重塔(国重要文化財)
寛永19(1642)年、前田利常の建立、三層とも扇垂木の手法で各層ごとに組み立て、大日如来を安置しています。

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マユミ          ウメノキゴケ

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4人一緒にカフェレストランHOGAでランチタイム 先ずは、美味しい加賀棒茶でスタート
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きのこのマリネ      ごぼうのポタージュ
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メインディッシュは鮭と蓮根のミンチコロッケの塩麴タルタルソース添え
日曜日で祭典最終日のせいか、HOGAは満員御礼でした。
お味、ボリューム共に満足です。井上さんにJR粟津駅まで送って頂きました。

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大滝神社に500円定額タクシーで到着
『大瀧神社・岡太神社は、深い山に囲まれた越前和紙の工房が軒を連ねる福井県越前市に位置します。大瀧神社は、養老3年(719年)に泰澄が創設したと伝えられており、岡太神社には日本で唯一の紙の神様、川上御前が祀られています。山の頂にある上宮(奥の院)とそのふもとに建つ下宮があり、下宮の本殿は両神社の共有となっていることから、2つの神社の名前が併記されています。本展は、下宮の境内及び、周辺の杉林の中で展開します。』(公式WEBサイト情報より)

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作者:橋本雅也
『橋本の創作活動の原点は、2000年にインドを旅した経験にさかのぼる。河原でひろった木片に手を加えることで、内包していたものが表出してくる現象に興味を抱いたことにはじまる。代表作の鹿の角や骨を素材に、草花をモチーフとした作品は、国内外で注目を集めている。近年は展示する場所で採取した土や木などの素材、自然環境に手を加え、生命の諸相に触れる作品を多く残している。』(公式WEBサイト情報より)

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作品「高松から越前 皮トンビ作者」鴻池朋子
『絵画、彫刻、映像、アニメーション、物語など様々なメディアを用いて、一貫して芸術の根源的な問い直しを続けている。近年は、旅の途中で出会う人や言葉、自然環境や動植物など、出会いのなかから生まれる制作手法を試みている。出品作品の《高松から越前 皮トンビ》は、牛革を漉いた際にでる裏革を縫い合わせてできている。雨水をうけ、日の光をうけ、常に外部に晒される躯体から、素材とものづくりに対する問いや、この地で存在することの根源的な意味の問いが投げかけられる。』(公式WEBサイト情報より)
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拝殿・本殿
 
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シロバナフジバカマ    ママコノシリヌグイ

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作品展示場所の手前で、靴から半足(あしなか)草履に履き替えて、鈴付きの熊除け杖を持って、展覧会スタッフから「写真撮影禁止、熊が出たら、、、蛇が出たら、、、蜂が飛んで来たら、、、」と沢山の注意事項を伺ってから出発します。
 
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半足草履とは足の裏の半分ほどの草履で、鎌倉時代より足を踏ん張って作業をする農民や船乗り、さらには飛脚などに重宝されていたそうです。足裏に傾斜をかける事で踵に自重がかかるようにします。足指と踵を地につけて履くことで、土踏まずや足指の機能が回復するだけでなく、「全身の筋肉のこわばりが解け、身体のレイアウトが元に戻る」そうです。裸足が心地いい季節に試しても良いですね。

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ここが入り口で一人ずつスタートします。約10分登ったところに設置されている作品を鑑賞します。今日は雨の後の石ころ道なので、足裏は冷たくて痛くて足指が攣りました。作家さんにお会いした時に「なぜ半足草履を履いて観賞するのですか?」と尋ねて、お返事をお聞きしたかったです。

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橋本雅也さんの作品は、鹿の骨から造られた百合の花で、木の根の洞穴の左奥からひっそりと、でもドキッとするくらい艶やかに咲いていました。

大滝御神社から500円定額タクシーで武生市街に戻り、日が暮れるまで「昔の街歩き」マップを頼りに散策をしましたが閉店しているお店が多かったです。

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ちひろの生まれた家記念館 

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「蔵の辻」
大正・昭和初期の木造店舗や蔵が活かされた一帯は、かつて北陸と関西を結ぶ物資の中継基地として栄えました。
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「蔵の辻」

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「うるしや」としての創業は江戸時代。漆の販売から蕎麦屋に転じ、昭和天皇が訪れた際には「越前そば」の名のきっかけを作ったとされています。

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漆塗りの大きなテーブルが映える落ち着いた個室で夕食です。

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金継ぎが美しい茶飲み茶碗

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名代越前おろしそば(私は田舎風越前おろしそば)、天盛り、出汁巻き、煮っころがし(大野の小芋煮が特別美味しかったです)

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北陸3県を舞台に「感情をゆらす、工芸の旅」をテーマに開催されたGO FOR KOUGEI展をゆっくり観て体感して、越前おろしそばを頂いて満足の一日を過ごしました。
現代の慌ただしい日々を振り返りながら、子どもの頃の懐かしい思い出を再体験してみたくなりました。古くて新しい宝物を見つけて幸せな気持ちになりたいです。
出展作家さん達の今後のご活躍を楽しみにしています。搬出前のお忙しい時に、ご案内してくださってありがとうございました。(三橋登美栄)


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10/25 22:35 | 展覧会
高橋妙子のちりめんチョッキ展を終えて
高橋妙子のちりめんチョッキ展(2022.10.4~9) を終えて

 今も手元に一冊のカタログがあります。
「アメリカのキルト」1976年京都国立近代美術館の展覧会のものです。布を縫い合わせてこんなにも色々なパターンがあることを知りおどろきました。私が知っていたのは祖母が大切に使用していた羽毛の座布団のカバーが肌色と黒のサテンを格子にはぎ合わせたものでした。身近にあったそれが子供心に気になって好きだった記憶です。
 祖母がつぎはぎをしていたことがよみがえり私もさっそくカタログを手本にパッチワークを手持ちの布で作りはじめました。大、中、小、色々作りましたが、ある日絹の端布を見つけ母の少女時代の着物の残布だと聞き、あまり多くはないので手頃なチョッキを作ることにしました。反物の巾で作るには調度よかったのです。小さな古布をぬい合わせ、とくに色合わせをするのは楽しくワクワクと本当に嬉しいひとときです。だからあきることなく作り続けているのだと思います。(ちりめんチョッキ作家 高橋妙子)

IMG_8395.jpgチョッキ「藤」

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チョッキ2枚、左から「白」「橘」

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チョッキ3枚、左から「珈琲」「格子」「桜」

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チョッキ2枚、左から「赤い縁」「黄八丈」

IMG_8410.jpg 「おでんち」

IMG_8412.jpgチョッキ「縦格子」

IMG_8413.jpg チョッキ「柳」

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チョッキ3枚、左から「人形」「渦」「黒」

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IMG_8420.jpgチョッキ「窓」
 
IMG_8421.jpgチョッキ「六角」

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部屋の隅にクッション「恐竜」が丸まっています。

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チョッキ2枚、左から「大島」「衿付」

IMG_8449web.jpg 高橋妙子氏

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久しぶりの個展はじめての京都 いささか心配でしたが たくさんの方々に助けられ、つたない作品をみていただき なつかしい知り合いとあえ楽しい日々をすごせましたこと とてもうれしく思います。(高橋妙子)

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我が国の服装は、明治維新以降に大きな変化がありました。開国によって他国の文化が伝わり生活様式、服装様式が急速な欧米化が進みました。高価な洋服に手の届かない一般人は和服にブーツや和服の上にコートを羽織っていたようです。この頃の礼服として男子は黒羽二重五つ紋付羽織袴で、女子は黒や色無地の縮緬五つ紋付裾模様下襲に丸帯が用いられていました。そして現在の日常生活では洋服が中心となって、着物を着る機会は少なくなりました。一般的に着物は晴着という感覚が強く結婚式などの特別なセレモニーやお葬式などのフォーマルウェア、礼服として用いられる事がほとんどです。
そこで着なくなった和服の活用方法として着物リメイクが注目されています。『思い出の着物だから捨てられない』『着る機会のない和服の管理は大変』など、その他様々な理由から、着物、羽織、帯、コートなどをリメイクやパッチワーをして、新しい衣類や小物に生まれ変わります。
日本の民族衣装である和服を、そして織物や染物などの伝統工芸の文化をも含めて大切にしたいです。今回展示された縫い目の美しい手縫いのチョッキは世界に一枚のオリジナル作品です。手を通すと暖かくてほっこりと落ち着きます。楽しい「ちりめんチョッキ」展をありがとうございました。(揺 三橋登美栄)


10/13 15:50 | 展覧会
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