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安土文芸セミナリヨ & 安土城跡  2020.12.20 & 22
安土文芸セミナリヨ & 安土城跡  2020.12.20 & 22

滋賀県近江八幡市安土町は16世紀の頃、織田信長によって築かれ栄えた国際自由都市だったと言えます。イエズス会の宣教師達が信長の許しを得て“安土”に開校した「セミナリヨ」は、キリスト教の神学校でしたが、同時に西洋文化を伝える窓口でもあり、オルガン等の西洋楽器の演奏による情操教育をはじめとして、最先端の近代教育がなされていました。また、日本で最初に輸入されたオルガンによって西洋の音楽が奏でられ、信長もその音色を聴いたと伝えられています。
そして今、『文芸セミナリヨ』は文化交流の場であったセミナリヨにちなんで名付けられた、音楽を中心に文化的な活動に幅広く利用できるバロックデザインのホールです。

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今日の公演は『クリスマスコンサート2020・輝く音色のクリスマス・トランペットとオルガンのコンサート』です。(14:00開演・主催:公益財団法人安土町文芸の郷振興事業団) ホールの後ろの繖山(きぬがさやま)(別名観音寺山)432.7mの山頂付近はうっすらと雪化粧。辺りの空気は澄み切って清々しく、クリスマスコンサートにふさわしい風景に迎えられました。

演奏者紹介
パブロ・エスカンデ(パイプオルガン・作曲・編曲)=演者表記♠ 
ブエノスアイレスの音楽院でディプロマを取得後、オランダでJ・オッホに師事。R・レイナに作曲を学ぶ。現在は日本テレマン協会ミュージックアドヴァイサー、テレマン室内合唱団指揮者、京都女子大学非常勤講師。
福中 明(トランペット)=演者表記♣ 
大阪芸術大学演奏学科卒業。トランペットを池田俊、松崎祐一の両氏に師事。室内楽を森下次郎に師事。現在は奈良フィルハーモニー管弦楽団トランぺット奏者。ブラウアー音楽アカデミー、FUNFUN MUSIC講師。四條畷学園中学吹奏楽部コーチ。出雲芸術アカデミー音楽院客員准教授。
三橋桜子(パイプオルガン)=演者表記♥ 
東京芸術大学器楽科チェンバロ専攻卒業。オランダのユトレヒト音楽院でディプロマを取得。現在は京都市立芸術大学非常勤講師。同志社女子大学音楽学部嘱託講師。

Program
シャルパンティエ / エスカンデ編曲 テ・デウム(プレリュード)〔♠♣♥〕
マルティーニ トッカータ〔♠♣〕
モーツァルト 自動オルガンのためのファンタジー
ヘッセ オルガン連弾のためのファンタジー〔♠♥〕
ヘンデル アリア「調子の良い鍛冶屋」と変奏〔♠〕
ムルシュハウザー トッカータ・アルペッジャータ(降臨節)
ツィポリ パストラーレ(クリスマスの夜)
パーセル トランペット・ヴォランタリー〔♠♣♥〕
テレマン コラール・プレリュード〔♠〕
エスカンデ編曲 クリスマスメドレーⅠ〔♠♣♥〕

モンテヴェルディ / エスカンデ編曲 “聖母マリアの夕べの祈り”より序曲〔♠♣♥〕
エスカンデ ファンタジア〔♠♥〕
フィアダンク 2本のコルネットのためのカプリッチョ〔♠♣〕
作曲者不明 プレリュードとフーガ(ヴォランタリー)
バッハ もろびと声あげ〔♠〕
エスカンデ 天使たちのトランペット(初演)〔♠♣♥〕
エスカンデ編曲 クリスマスメドレーⅡ〔♠♣♥〕

Message
2012年に日本に移住して間もない頃、安土文芸セミナリオのパイプオルガンを演奏する機会に恵まれました。そして、今回再びこの素晴らしい楽器を演奏させていただくことになり、感慨深いと同時に、モーツァルトの言葉を思い出します。「私の目と耳にとって、オルガンは永遠に楽器の王様であり続けるだろう」
トランペットとオルガンの美しいコンビネーションは今に始まったことでなく、何世紀にも亘って存在していました。
本日のプログラムは変化に富ませており、よく知られた曲・珍しい曲、厳格な曲、原曲・編曲、古い時代の曲・新曲などを含んでいます。そしてこれらに多彩さを与えるために、編成にも工夫を凝らしました。トランペットの独奏、オルガン連弾、トランペットのデュエル、3人での演奏など、色々な編成の響きもお楽しみください。
私はこのコンサートのために新曲を書き、クリスマス音楽をメドレーに編曲しました。
モンテヴェルディやフィアダンクによる初期バロック音楽から後期バロック、古典派、ロマン派を経て現代に至るまで、幅広い時代のレパートリーを、この輝かしい“楽器の王様”のあらゆるコンビネーションの響きで楽しんでいただけたらと願っております。(パブロ・エスカンデ)

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ホールに設置されているパイプオルガン(イギリス・マンダー社製)の赤色は織田信長の安土城を象徴しているのでしょうか。パブロ・エスカンデ作曲の「天使たちのトランぺット」(初演)は新鮮で感動的でした。オーケストラを聴いているような音響に包まれ、特別な音色は、日本の古楽器の響きを感じました。クリスマスメドレー(編曲)のそれぞれの曲の移行部分は何度も聴き直したいくらい不思議な魅力にワクワクしました。初期バロック音楽から現代音楽までの沢山の曲を熱演してくださってありがとうございました。  
演奏者の皆さま、素晴らしかったです!!    ☆彡 Merry Christmas!! ☆彡

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クリスマスコンサートの翌々日(22日)、再び安土駅まで出かけました。駅の観光案内所で運よくボランティアガイドの方にお会いして、安土の町並みを案内して頂きました。

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活津彦根(いくつひこね)神社御旅所跡とその鳥居が遠くに見えます。

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伝承豊浦冠者行實の建物

安土駅から町中を散策して約30分で安土山麓に到着します。
安土城跡は織田信長が天下統一を目標に天正4年(1576)1月17日、重臣である丹羽長秀を総普請奉行に据え標高199mの安土山に築城させた平山城。岐阜城よりも京に近い利便性があり、北陸・東海の要所でした。現在は四方共干拓により陸地になっていますが当時は琵琶湖の内湖(伊庭内湖・常楽湖)に囲まれ南方のみが開けた地形でした。そのわずか3年後天正7年5月、わが国で初めて天守閣(天主閣)をもつ安土城が一応の完成をみせました。ところが、天主完成から3年目の天正10年(1582)6月2日未明、中国毛利へ出陣途中の明智光秀の謀反により信長は京都・本能寺で自刃(49歳)。混乱の中6月15日、天主などを焼失、一夜のうちに落城しました。原因は織田信雄が誤って焼き払ったという説や敗走する明智光秀軍による放火という説などが有名です。

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安土城跡石段

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 仏足石
我が国では奈良の薬師寺の仏足石が現存する最古(奈良時代・国宝)のものとして有名ですが、この仏足石は中世の数少ない遺物として大変貴重なものです。
 
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植物が生い茂る石垣の上が天主跡

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この石段を上がると天主跡に到着

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安土城天主跡
背丈ほどの高さの石垣に囲まれた東西、南北それぞれ約28mの台地。今は礎石が1,2mおきに整然と並ぶだけですが、この部分は天主の穴倉(地階の部分)にあたります。五層七階の天主は、高さ33mの木造高層建築は当時、わが国で初めてのものでした。内部は信長の御用絵師、狩野永徳の豪壮な障壁画や装飾を配していました。

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本丸跡からの眺望。信長も眺めていた琵琶湖が広がります。

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帰りは分岐点から左折して三重塔、仁王門の方向へ降ります。

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摠見寺本堂跡
摠見寺は臨済宗妙心寺派の寺、遠景寺と称します。信長が他所より移築し安土城本丸の西方の峰に自らの菩提寺にしたと伝えられています。

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摠見寺本堂跡からの眺める西の湖

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三重塔
安土山の中腹に見える三重塔は三間三重の塔で屋根は本瓦葺。天正3~4年に信長が甲賀の長寿寺(甲賀市石部町)から移築したものです。

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仁王門(楼門)
屋根は入母屋作り、本瓦葺。門内に安置されている金剛力士像も門同様国指定重要文化財で、信長が天正年間に甲賀から移したものです。

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安土城跡の長い石段をゆっくり踏みしめながら散策(所要時間は約1時間半)した後、西日に向かって農道を真っすぐ歩いて安土駅に向かいます。左右に冬野菜の緑の畝が夕陽に輝いていました。
人生100年時代と言われて私自身も高齢者になると、450年前の出来事を近く感じるようになります。最近やっと歴史に目覚めて歴女を目指しているのですが、もう手遅れでしょう。でも次はどこへ歴史探訪しようかと日々楽しんでいます。(三橋登美栄)


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12/28 23:21 | 日々
伽藍山 2020.12.11
伽藍山(忘年会) 2020.12.11
第510回「自然と語る会」(参加者12名)
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JR膳所駅8:39→石山駅北口送迎バス9:00→京阪石山寺駅9:10→伽藍山散策→京阪石山寺駅→屋形船乗り場11:15→乗船→びわ湖・大津港コース(船内で昼食)→下船13:30→解散→Go toトラベルのクーポン券で買物→JR石山駅14:08→膳所駅14:11→帰宅
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石山駅北口から送迎バスが出発する時に、バスの窓からV字型に飛ぶカワウを発見。雁行型編隊飛行の時は空高く飛びます。(残念ながら写真撮影不可)同じく車中から十月桜(冬桜で毎年、年に二度開花)を観賞。

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 フユイチゴ
京阪石山寺駅から伽藍山方向に散策を開始します。

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 伽藍山の登山口

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 ヒヨドリジョウゴ

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 ナンキンハゼを食べるキジバト

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 ヤブムラサキ

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 イズセンリョウ
名前の由来は伊豆半島の伊豆神社に多く、赤い実のセンリョウに似ていることから。幹は紫褐色、皮目があります。若枝は緑色。葉は互生し、長さ5~15cm、幅2~5cmの長楕円形、縁に不明瞭な波状鋸歯があり、先が尖っていて雌雄別株。秋に葉脇に花序を出して小さな蕾をつけるが、開花は翌年の4月から5月。花は乳白色で、長さ5mmほど。秋には果実が稔るが、蕾を付けてから果実が熟すまで1年以上を要します。
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 イズセンリョウの蕾と実
 
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急な斜面に獣道が目立ちます。鹿やイノシシの足跡が見られ、動物たちの夜の運動会を想像しました。

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左側は靄がたなびき、右側は木漏れ日が明るく輝いて対照的な風景が広がっています。

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 マンリョウ

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伽藍山の山頂(239m)に到着。この山をイズセンリョウ山と名付けたいくらいイズセンリョウが群生していています。その開花時期(4~5月)にもう一度来てその花を見たいものです。

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舟乗り場から屋形船「四季」に乗船
 
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船内のテーブル席には特製市松2段弁当が新近江別館から届いていました。
八寸(いさざのカリカリ揚げ 鯛の昆布締め ビワマス寿司 ビワマスの塩麹焼き)
肉料理(鴨ロース あしらい一式)
揚げ物(海老 椎茸の挟み揚げ)
炊合せ(子持ち鮎 海老芋 真菰茸)
きのこ御飯 えび豆 しじみ汁
デザート(さつまいものチーズケーキと山﨑和子さんの手作りケーキ)

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ビールで乾杯してお弁当を頂きながらも2階のデッキに移動して野鳥を観察します。
越冬するために日本に渡ってきた冬鳥たち。遠くにキンクロハジロが浮かんでいます。
昨年(忘年会)、湖北野鳥センターで観察したオオワシは、今年も元気に11月23日に山本山に飛来したと聞いて安心しました。

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撒き餌を食べにユリカモメが屋形船に近寄ってきます。
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逆光に浮かぶプリンスホテルのシルエット

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屋形船が進むにつれて比叡山の姿が徐々に変化します。
 
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三上山を背景にモーターボートが滑って行きます。

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屋形船甲板前方に爽やかな風見鶏

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長く見える近江大橋

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近江大橋の真下

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近江大橋を通過

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屋形船のデッキで集合写真

琵琶湖上から大津市内を眺めるのは本当に久しぶりです。20年ぶり?いやそれ以上です。
陸から見ている琵琶湖よりも大きく感じるから不思議。遠方から観光に訪れたような気分で南湖の風に吹かれながら快適な時間を過ごしました。また来年も山歩きにご一緒できるように体調を整えておきます。皆様、今年一年ありがとうございました。(三橋登美栄)


12/13 19:08 | 山歩き
祇園界隈 2020.11.27
祇園界隈 2020.11.27

今日は、気心の知れた親しい人たち6名と一緒に夕食を囲む嬉しい日です。その前に三条通りの画廊巡りからスタート。まずギャラリーモーニング・海老優子展「彼らの風景」は『目には見えなくても、確かにあったはずの境界線が曖昧になり始め、少しずつ互いがぼんやりと混じり合う』の大作を観賞。そのイメージは、朝方に寝直した時に見る夢の鮮明な記憶のようでした。次はKUNST ARUT・札本彩子展では、宅配サービス(Uber Eats)と現代の食文化を造形した迫力あるインスタレーションを観賞しました。その後、祇園まで白川沿いをゆっくり歩きました。暮れなずむ頃、観光客も少なくなった建仁寺に立ち寄ります。

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建仁寺境内。午後5時前、東の空に大きな月が昇ってきました。

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夕闇迫る頃には御提灯「小西」に火が灯りました。
祇をん小西・「加守田次郎」絵画展を鑑賞。

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午後6時半、祇園花見小路から少し西に入った翠雲苑に到着。老舗の廣東料理ですが店構えは祇園の京町屋です。広い玄関から2階の個室、畳敷テーブル席に案内されました。

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先ず織部の器に、前菜盛り合わせ
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竹の蓋付き器に蟹肉入り中華スープ
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エビカナッペ揚げ(単品メニューを追加注文)
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明石産活け鯛の中華風お刺身
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豚肉甘酢あんかけ鎮江黒酢風味
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ハタのクリームソース煮込み
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鶏肉と野菜の炒め煮 春巻きの皮包み
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九条葱と蒸し鶏の汁麺
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杏仁豆腐
今宵、満足の9品の御料理を美味しく頂戴いたしました。

翠雲苑は昭和37年(1962年)に創業。初代は京都中華の名店「ハマムラ」や「飛雲」で修業された正統派の京中華の流れを汲むお店です。2代目太田磯一さんは祇園生まれの祇園育ち、祇園町南側地区のまちづくり協会代表幹事さんです。以前に、番組“ブラタモリ”に出演し、タモリさんを案内されたそうです。
次回はランチタイムに名物の「揚げ麺の五目あんかけ」や「中華おこわの笹の葉包み」などを味わいたいと思っています。また伺いますのでよろしくお願いします。


12/09 13:12 | 日々
夛田憲太郎展(2020.11.3~11.8)を終えて
夛田憲太郎展(2020.11.3~11.8)を終えて

当画廊での夛田憲太郎展は2016年8月に続き、4年ぶり2回目です。前展と同じく、今回も全て風景画です。鑑賞者の話題はドンゴロス地に描かれた作品の「モヤモヤ感」でした。

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「小川」 270×370mm 油彩・紙(アルシュオイルパッド)

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「立石寺 2」P30 油彩・ドンゴロス

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「アメリカの古い家」P30 油彩・ドンゴロス

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「宗谷丘陵 3」 270×370mm 油彩・紙(アルシュオイルパッド)

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「釧路湿原廃屋 1」P20号 油彩・キャンバス

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「釧路湿原の廃屋 2」484×365mm 油彩・紙(アルシュオイルパッド)

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「シリパ岬」F12号 油彩・ドンゴロス

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「荒地」 274×193mm 油彩・紙(アルシュオイルパッド)

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「立石寺」760×664mm 油彩・紙(アルシュオイルパッド)

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「宗谷丘陵 2」270×370mm 油彩・紙(アルシュオイルパッド)

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「宗谷丘陵」270×370mm 油彩・紙(アルシュオイルパッド)

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 夛田憲太朗氏

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≪大阪在住フリーライター・小吹隆文氏@kobuitakafumi・Twitter に掲載された記事≫
ギャラリー揺の「夛田憲太朗展」。絵画。前回の個展(2016年)以後に制作した作品で構成。1点だけボストンの白い民家を描いた作品があり、他は北海道など国内の風景。大半は淡々とした雰囲気だが、そこが良い。「じわる」ってこういうこと? 明日(11/8)まで。

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作品「立石寺」を観賞して、松尾芭蕉の俳句「閑けさや 岩にしみ入る 蝉の声」が頭に浮かびました。
『 …「岩に巌を重ねて山とし」とあるとおり、岩に岩を重ねたような山のところどころにお堂が建っています。 … 芭蕉は山寺の山頂に立ち、眼下にうねる緑の大地を見回した。頭上には梅雨明けの大空がはてしなく続いています。そこで蝉の声を聞いているうちに芭蕉は広大な天地に満ちる「閑けさ」を感じ取った。 … 「閑けさ」とは現実の静けさではなく、現実のかなたに広がる天地の、いいかえると宇宙の「閑けさ」なのです。梅雨の雲が吹きはらわれて夏の青空が広がるように、突然、蝉の鳴きしきる現実の向こうから深閑と静まりかえる宇宙が姿を現したというわけです。 … 「奥の細道」を読みすすめてゆくと、月(出羽三山)や太陽(酒田)や銀河(出雲崎/いずもざき)が次々と姿を現しては去ってゆきます。「閑けさや」の句はこの宇宙巡りの旅の扉を開く一句なのです。』≪NHK 100分de名著 2013年10月号より≫
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夛田憲太朗氏の作品は、芭蕉とは違う「静けさ」が漂っています。人の気配を予感する前の静けさを感じます。「自己の内面を深く見つめながら制作を進め、時には筆が勝手に動く勢いで完成させました。」と夛田氏から伺いました。今後は抽象表現を展開されるのでしょうか? 当画廊での3回目の個展を楽しみにしています。ご活躍ください。
(ギャラリー揺 三橋登美栄)


12/03 23:40 | 展覧会
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