美術作家 三橋登美栄
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彌永ゆり子展「digital painting」(2018.5.22~6.3)を終えて
ここにいながらも、画面を介して自分の生まれる前の世界や遠く離れた場所のいまを感じることができる。そんな今、次々と現れる新しいものや技術に未知の期待を抱く一方、小学生のころの低解像度のイメージに抱いたワクワク感がずっと一番生々しく、リアリティがあったように感じる。そんな現状をふまえ、自分が感じているデジタルの質感や、そのリアリティ、生々しさみたいなものについて、あるいは、そのある種チープともいえる質感による物質的な表現に魅力を感じ、試行錯誤している。(彌永ゆり子) ≪展示作品≫ 1 lucid figure #2 2 old tv 3 where are you (here and there)#1 4 where are you (here and there)#2 5 where were you (find on the cyberspace) 6 childhood dream #2 7 ewan mcgregor 8 videochat (kyoto-london) 9 lucid figure #3 10 where were you (kurt with video) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 作品「where are you (find on the cyber space)」2018 映像 650×1125×100mm ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 作品「videochat(kyoto-london)」2017 映像、額(キャンバスに油彩) 750×410×370mm ![]() ![]() ![]() 作品「where were you (kurt with video)」2018 映像 465×378×38mm ![]() ≪ステートメント≫ 自分にとって興味深いことであっても、他者にとっては些細で見過ごしても構わないようなことかもしれない。そういった(見過ごしがちな)ことに注目し、様々な手段をもってすこし大げさに表現してみる。 自分が手を加えることで既存のものに今までとは違う新しい側面があらわれてくることを期待し、また、 作品を通じて自分が感じた面白さを少しでも共有できればと思う。(弥永ゆり子) ……………………………………………………………………………….. 京都新聞2018年6月2日朝刊(美術欄・ギャラリー) 弥永ゆり子展(揺=銀閣寺前町 3日まで)パソコンのお絵かきソフトで描いた絵画を、大小さまざまな液晶画面に映し出している。描き終えた状態だけではなく、途中経過や上書きも作品の一部として公開。デジタル技術が芸術の範囲を拡大した一例だ。(小吹隆文・美術ライター) ……………………………………………………………………………….. 絵画を描きながら仕上がる瞬間を見極めて、筆を置いて完成を迎えます。でもこのタイミングを見逃してしまうと後戻りはできず、描き過ぎて失敗することを度々経験します。 そんな苦い思いとは裏腹に、彌永さんの制作過程が流れる映像は軽やかで新鮮です。 手のひらサイズから50インチくらいの大きさの画面まで様々。目まぐるしく流れる早い動きから、静止画かと思うくらいゆっくり動く画面まで多様です。ちなみに私はゆっくり画面が好きです。 次は音楽と共鳴する映像を拝見できたら嬉しいです。今後の展開を楽しみにしています。(三橋登美栄) スポンサーサイト
06/07 12:11 | 展覧会 |