美術作家 三橋登美栄
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端地美鈴展 ―here and there―(2016.11.22~12.4)を終えて
今年最後の展覧会はFlip book(パラパラ漫画)9種類とAnimation(映像)2種類です。 ≪展示作品≫ 1 .Flip book vol.1 Car window 2. Flip book vol.2 Plant 3. Flip book vol.3 Shadow of the train 4. Flip book vol.4 Family photograph 01 5. Flip book vol.5 Television 6. Flip book vol.6 cup and milk 01 7. Flip book vol.7 cup and milk 02 8. Flip book vol.8 Bicycle 9. Flip book vol.9 Family photograph 02 10. cup and milk (animation 5:00) 11. A bicycle shop (animation 5:17) ![]() 展覧会場 暖かい陽の光が差し込む庭を見ながらFlip bookを楽しみます。 ![]() ![]() Flip bookを展示、販売。 ![]() 和室でアニメーション2種類を終日上映。 アニメーションA bicycle shop (animation 5:17) ![]() 夜の展覧会場 ![]() 庭からは、アニメーションが左右逆に見えます。 京都新聞2016年11月26日朝刊(美術欄 Sprout! 発芽するアーティストたち)掲載記事 ❽ 映像作家 端地美鈴 はしじ・みすず 1990年、京都市生まれ。2013年京都造形芸術大情報デザイン学科イラストレーションコース卒。同大学卒業制作展学長賞、14年木津川アート市民賞、18回文化庁メディア芸術祭で「Remember me」が審査委員会推薦作品に。16年「京都府新鋭選抜展」で「cup and milk」が産経新聞賞。京都市在住。 ![]() ![]() ![]() ![]() アニメーションcup and milk (animation 5:00) 描いては消し 身近な日常紡ぐ 白い画用紙と鉛筆1本と消しゴム1個。 端地美鈴のアニメーションは、最小限の単位で作られる。描いては消して、消しては描いて。消しゴムの黒いかすは形になって、鉛筆の線で描かれた町の上を動く。その一連の机上のできごとが早回しになってアニメとなる。2013年、初個展の際に展示した作品「Remember me」は、音楽グループ「くるり」のミュージックビデオでもある。 鉛筆を持った手が画面に現れ、家、町、電線、枕木やレールを描き出す。線路の上を電車が表れて去って行く。消しゴムがそれらの姿を消す。残った黒い消しかすがそれらの姿を消す。残った黒い消しかすが集合し、塊となって町中の木立のシルエットや電線にとまる鳥の形になり、また風のように散り散りになって飛んでいく。消された町は消しかすとなって、いつの間にか電車内の車掌と女の子の影に。形は次々と現れては消え、また新たな形を作りながら、女の子の成長のストーリーを紡ぎだす。 暮れゆく町並みを横切る電車、路面に映る車窓の影法師、ブランコに揺れる少女。郷愁を誘う曲調に、鉛筆と消しゴムが生み出すアナログな動きが響き合う。遠く離れた場所であっても ほら近くにいるような景色―そんな歌詞は、端地の世界そのものだ。消えた像は紙にかすかに痕跡を残し、その上にまた新しい形が重なっていく。それは、1枚の紙の上で確かに繰り広げられた「時間」と「存在」。雲散霧消を絶え間なく繰り返す地球上の日常と重なる。「消しかすが新しいものになるのを見て、今が過去になり、過去が今になるのですね」 手描きのアナログアニメに引かれ、「動くドローイング」で知られるウィリアム・ケントリッジに影響を受けた。消しかすを思いついたのは、「白い紙に鉛筆で書いた文字の上にさらに書いて塗りつぶしたら文字が消える。それは書いているけど消していること。逆に塗りつぶした黒い画面を消しゴムでこすると、文字が書ける。“描く”と“消す”が一緒になっていることに気付いた」。 膨大な作業だった。例えば、電車を動かすのも少しずつずらしながら描いて消してを繰り返す。1分制作するのに60分のテープが必要という。細かいかすは、ピンセットで一つ一つ移動させる。風は大敵。学生時代は夏でも扇風機は使わず、窓も開けずに制作した。「一日が終わったら、お菓子のふたでかすかにふたします」。消した跡が残るので、撮り直しはできない。「時間がかかりますね。モノクロの古い映画みたいと言われます」銀閣寺近くのギャラリー揺で個展を開催中(12月4日まで 月休)。 NTT西日本のウエブCMで現在公開されている作品も並ぶ。まちの自転車屋さんの物語だ。初めてフリップブック(パラパラまんが)も手作りした。「大学卒業後に制作した作品の中のお気に入りシーンを抜きだしました」という。「小さいころ、ファミリーレストランのレジ前にあるおもちゃがほしくて、買ってもらった。一時的に熱中していつか忘れてしまったけど、何か残って覚えている。そんな心に残る作品を作っていきたい」 (京都新聞 河村亮) ![]() 端地美鈴さんは来年春から新しい生活が始まるそうです。 新しい環境からどんな作品が生まれるのか期待が高まります。 これからもどうぞご活躍ください。 …………………………………………………………………………………………………………. 今年のギャラリー揺の展覧会は企画とレンタルを合わせて13回。 現代美術、陶芸、金属、平面など様々なジャンルの個展とグループ展を開催しました。フランス人とイスラエル人の海外作家3人展も楽しい思い出の一つです。それぞれに印象に残る良い展覧会を開催できたことを嬉しく思っています。この一年間ありがとうございました。来年もギャラリー揺をよろしくお願いいたします。(三橋登美栄) スポンサーサイト
12/17 16:26 | 展覧会 |