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田中真吾展(2016.4.5~17)を終えて
田中真吾展(2016.4.5~17)を終えて

火をテーマに、火を用いて作品を制作するアーティスト田中真吾さんの展覧会です。

<展示作品>
1 drawing (re:trans) #007 平面 
2 trans (cube #3) 立体
3 trace (#005) 平面
4 trace (#002) 平面
5 trace (#001) 平面
6 drawing (re:trans) #008 平面
7 drawing (re:trans) #009 平面
8 drawing (re:trans) #006 平面
9 re:trans #053 レリーフ
10 re:trans #054 レリーフ
11 re:trans #055 立体
12 meltrans 立体

drawing(re trans#006)
作品「drowing(re:trans) #007」
パネルと同じサイズの紙を燃やした跡に残った紙部分と、その灰を使って手や爪で描いた平面作品です。

trans(cube #3)
作品「trans(cube #3)」
画用紙をスプレー糊で何重にも重ねて貼り合わせた立方体は、紙とは思えぬ質感と重量感があります。
バーナーの炎で焼かれた黒い灰の痕跡と残された白い画用紙とのバランスが微妙です。何枚もの画用紙が炎の力で剥がれる動きは花の蕾が咲き始める生命力に似ています。

trans(#005, #002,#001) 撮影 佐藤健博
左から作品「tranc #005」「tranc #002」「tranc #001」
暗闇の中で、炎の光の線が下に落ちて行く3~5分間の時間経過を平面に定着させた作品です。

展覧会場
展覧会場

re trans#054
作品「re:trans #054」
流木と紙のコラボレーション作品です。

re trans#055
作品「re:trans #055」
琉球畳の海に浮かぶ帆掛け船の行く先は?
白い画用紙とグレーの燃え殻。その境界線の曲線が美しいです。

re-trans#053 撮影 田中真吾
作品「re:trans #053」
流木、元は木であった紙、以前は紙であった灰。全て土に帰る自然素材のコラボレーション作品です。

re trans#053部分
作品「re:trans #053」部分
脆い灰とは思えぬ強靭なイメージと、壊れそうな緊張感の両方を合わせ持っています。

meltrans
作品「meltrans」
初挑戦の屋外展示オブジェはビニール素材でカラフルです。

Naomiさんと田中真吾さん
eN artsオーナー Naomi Poweさんに作品の説明する田中真吾さん。

植物と一体化
オブジェ作品の花々が庭に咲きました。珍しいブルーの花は揺の庭の新色です。

ゴミ問題が現代のように深刻でなかった私の子どもの頃は、自宅の庭の片隅でそれぞれに自分のゴミを燃やしていました。小さな秘密が灰に変わってスッキリする気持ちと同時に、帰って来ない宝物のような思い出が消える時の複雑な感情も一緒に味わいました。年を重ねる毎に、幼児体験が鮮明に蘇ってくることは不思議で面白いです。来廊者からは「燃やすのは大好き!」「キャンプファイアーの炎を思い出すな~」「現代っ子はマッチの擦り方も知らんな~」など炎に関する話題にはすぐに火が付き、盛り上がります。炎には特別な魅力と創造力を持っていることに気づかされた展覧会でした。
田中さんの今後の新しい作品展開を楽しみにしています。どうぞご活躍ください。(三橋登美栄)

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京都新聞2016年4月16日朝刊(美術欄)掲載記事
田中真吾展
炎をテーマにした平面、立体作品。重ねて焼いた紙が見せる炎の痕跡を、流木と組み合わせた立体作品に。熱で溶かした色鮮やかなビニールのオブジェも。 (沢田眉香子・著述業)
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最後は田中真吾さんの文章で締めくくらせて頂きます。

個展「ひかりをみる」を終えて
今回、ギャラリー揺での個展の話をいただいたのは1年半前のことです。そして、展覧会の開催に至るまでの間、最も悩まされたのは、ギャラリー揺の肝とも言える庭の存在です。多様な植物が生い茂り、季節によって驚くほど色を変える庭は、均等に並んだ石畳と手入れの行き届いた苔も相まって、何も置かれていない状態そのままで充分に完成されているように思われました。庭に佇む時間に私自身が関わるにはどうすればいいのか、本展覧会の中で一番時間を割いた課題です。結果として、私はそこに鉄とビニールを用いた野外彫刻を制作しました。
現地での制作、野外での立体作品、鋼材とビニールという素材、今まで平面作品中心の制作を行ってきた私にとって、全てがほぼ初めての試みとなりましたが、それ故、この時期にあの作品を生み出せたことはとても貴重な経験となりました。作品の良し悪し以上に、この先に繋がっていく可能性を得ることが出来たと思います。
色々と無理を聞いていただいた三橋さんご夫婦とご親族の方々には、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。
これからも、失敗に臆することなく挑戦を続け、今回の展覧会で得た作品の兆しをより大きく発展させていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い致します。 (田中真吾)


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04/24 12:32 | 展覧会
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