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井上唯展(2015.11.3~15)を終えて
井上唯展(2015.11.3~15)を終えて

5年ぶり2回目の井上唯展です。
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『夢を見ているのか。』 
自然に成ったようなモノがつくりたい。自然界にあるものを見ていると、その美しさに惚れ惚れすると同時に、かなわないなとも思わされる。けれど、そんな自然の摂理や時間がつくったような在るがままの美しさをそのまま使わせて頂きながら、そこにそっと手を加えることで、ハッとするようなナニカが作れないかと期待もしている。今回は植物をそのまま素材にして、そこに近づいたり遠ざかったりしながら生まれた「種」のようなモノを空間に散りばめた。(井上唯)

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≪入口展示棚展示作品≫
・ 家(南天 ナンテン)
・ ひと(葈耳 オナモミ、羊毛)
≪板間展示作品≫
・ 家 / fluff 3点(薄 ススキ、 荻 オギ)
・ 彼方の人 6点(白金葦 シロガネヨシ)
≪和室展示作品≫
・ うたかたの日々(薄 ススキ、荻 オギ、麻糸)
≪庭展示作品≫
・ 夢をみているのか(銅線)
※ 総点数13点のインスタレーション展示です。

井上唯さん
展示作業中の井上唯さん

家 ひと
作品「家 / nandin」 果球の付いたカラマツの枝先にも見えます。
作品「ひと」 人にくっ付くオナモミが「ひと」に成りました。

展覧会場
展覧会場

家 家
作品「家 / fulff」
必要最小限の狭さが心地いい綿毛の住処は暖かそうです。

展覧会場
展覧会場

室内から庭作品「彼方の人」
庭の「夢をみているのか」を見上げる、室内の「彼方の人」の呟きが聞こえます。

うたかたの日々
作品「うたかたの日々」
うたかたの日々 うたかたの日々と庭
和室の天井を突き抜ける大きな人の脚は、風景と交じり合って立っています。
野原で刈り取った植物は、その枝に種子を付けて次世代の生命と共に生きています。
3人の脚
脚が三重に交差し、3人が時空を超えた空間を通りゃんせ。

夢をみているのか 夢をみているのか
作品「夢をみているのか」
夢をみているのか
太陽光線を浴びて赤く輝いた「ひと」は、風に吹かれて宙を舞っています。
大きな夢に向かって、不安と希望を背負って高く昇っていきました。

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1.<うたかたの日々>
「この世界のすべてのものが、流れながら繋がっている」ということを、言葉として知ったときの衝撃と嬉しさは強烈だった。その時に浮かんだイメージをいつかカタチにして、その光景を見てみたいと思っている。粒子のような、泡のような、ひとつひとつはナニモノでもないけれど、それらが集まってカタチを成し、そしてとどまることなく流動し、廻り続けているイメージ。作品のタイトルを考えていた時に、「うたかた」という言葉が漢字で「泡沫」と書くことを知って、この言葉を使いたいと思った。でも、ただ <儚い>のではなくて、もっと生命のしたたかさ、しなやかさ、これからも続いていく希望のようなものも込めたいと思った。

2.<彼方の人>
この植物は2ー3mの高さのところに白い穂がボッっと並んでついていて、大きな一塊として群生している。その光景に初めて出くわした時に、ハッと目と足が釘付けになった。なるべく植物そのままを使いながら、人のような、この世のものではないような存在をつくってみた。

3.<家/fluff>
綿毛を見ながら、綿毛だけを集めてフワッとカタチをつくれないかなと夢想した。

4.<夢をみているのか。>
見る私たちも、そして空に浮かんでいるこの人自身も、一瞬、自分の目を疑うような、フッと不思議な感じになるようなものになればと思い、色づき始めた草木と、秋の空のなかに浮かべた。

5.<家/nandin>
毎年、冬の雪にやられて折れてしまう赤い実がつくその天辺部分が愛おしく、ずっと集めている。小さな南天たちが手を繋ぎ、スッと立つ姿は、木々が寄り添う林のようにも見えてきた。

6.<ひと/cocklebur>
オナモミ。通称、くっつき虫。オナモミだけでくっつきあってカタチになったらと思ったのだけれど、オナモミ同士では、あまり強くくっついてくれないことがわかった。うまくできているものだと関心しながら、毛を絡ませていったら、喜んでくっつき始めた。(作品解説文章 井上唯)

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井上唯さん
井上唯さんは2011年に横浜・象の鼻テラスを拠点にスタートした世界の港町をクリエイティブに結ぶ、新たな都市間交流のためのプロジェクト
《ポート・ジャーニー・プロジェクト》に参加。
今年はSan Diegoで約1ヶ月間のアーティスト・イン・レジデンスをされました。
これからも、新しい夢に向かって果敢に挑戦される井上さんにエールを送っています。
[プロフィール]
井上唯 いのうえ・ゆい (アーティスト / 美術)
愛知教育大学 教育学部 造形文化コース 織専攻卒業。金沢美術工芸大学大学院 美術工芸研究科染織コース修了。現住所 滋賀県高島市。「公募京都芸術センター2009 井上唯 『虚空に浮かぶ月』/clipper 『アウトライン-電車編』粟島アーティスト・イン・レジデンス(粟島 AIR)2010 / Autumn】【神山アーティスト・イン・レジデンス(神山 AIR)2011】「六甲・ミーツ・アート 2013 芸術散歩」六甲オルゴールミュージアム(兵庫)他。第37回毎日 DAS 学生デザインコンペ・金の卵賞、ておりや 30 周年記念公募展・大賞他。 公式サイト:http://iyueunoi.jimdo.com/
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京都新聞2015年11月7日朝刊(美術欄)掲載記事 ≪井上唯展≫
ススキの穂で作ったオブジェ。輪のモチーフを巨大な脚の姿に編み上げ、摘んだ穂先を圧縮して家の形に造形した作品も。繊維を用いた構造物、触感に訴える作風はテキスタイルを学んだ作家らしい。(澤田眉香子・著述業)
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11/23 12:44 | 展覧会
湖南三山&鶏鳴の滝 2015.11.9
湖南三山&鶏鳴の滝 2015.11.9
第414回「自然と語る会」(参加者12名)
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JR膳所駅7:22発→石山駅7:26着(貸切りバス7:30発)→常楽寺8:30~9:40→長寿寺8:45~10:45→善水寺11:20~12:20(拝観後境内の観音堂で昼食)→道の駅あやま14:30発→信楽・鶏鳴の滝15:30発→石山駅北口16:30着→帰宅
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今日は綿向山行きの予定でしたが悪天候のため、湖南三山めぐりに変更です。

天台宗の古刹「常楽寺」「長寿寺」「善水寺」の総称“湖南三山”を巡ります。11月14日~30日は紅葉の見頃にあわせて湖南市観光協会の催しもあるので観光客で賑わうでしょうが、今日は静かに境内を散策できました。
 
常楽寺本堂 常楽寺本堂
常楽寺本堂(国宝)

常楽寺
ドウダンツツジの紅葉
常楽寺三重塔 常楽寺三重塔
常楽寺三重塔(国宝) 廂の先の方の屋根瓦の葺き方が変わっています。丸瓦の上に平瓦が乗っているのでしょうか?

モチツツジ
モチツツジ
モチノキ モチノキ
モチノキ  

常楽寺紅葉
常楽寺の紅葉

サザンカ サネカズラ
     サザンカ             サネカズラ
長寿寺 長寿寺
長寿寺本堂(国宝)

長寿寺
緑色の楓が美しいです。長寿寺参道の紅葉のトンネルは有名です。
 
白山神社 山道
長寿寺の隣の白山神社       長寿寺近くの山道

鉄塔
移動中に車窓から見る高い鉄塔。近くに変電所がありました。

ツチグリ サワガニ
      ツチグリ             サワガニ

百伝池
善水寺本堂(国宝)から見る百伝池

観音堂 昼食
善水寺観音堂の石段に並んで昼食
紅葉 磨崖仏
観音堂の紅葉        不動の大岩に彫られた磨崖不動明王

コトネアスター
コトネアスター

鶏鳴八滝入口
鶏鳴八滝の入口 
鶏鳴の滝(高さ13m 幅11m)はここから0.8kmです。滝の写真は間違って削除しました。
信楽駅より約6km、大戸川の上流に位置しています。この滝の東方にそびえる笹ケ岳の山頂には古い寺跡があります。元旦の朝に、この寺跡の閼伽池から黄金の鶏が現れ新年の幸を告げるという伝説にちなんでこの滝を鶏鳴の滝と呼んでいます。

バスで移動中は雨が降っていても、目的地に着くころは運良く雨が上がって山道を歩くことができました。 また、次回を楽しみにしています。

11/17 23:50 | 山歩き
堀田淳一展を終えて
堀田淳一展(2015.10.20~11.1)を終えて

紅葉、黄葉、紅黄葉などがとても綺麗な桜の樹。虫食いの穴あき葉を秋空に透かして見ると夜空の星を観ているようです。哲学の道は花見の時のような混雑はなく、自然の移り変わりを楽しみながら疎水の辺りを散策できる季節になりました。

当画廊での堀田淳一展は2年ぶり4回目の開催です。

≪展示作品≫
1 溢想
2 春想Ⅳ
3 春想Ⅰ
4 記憶
5 春想Ⅱ
6 春想Ⅲ
7 群
8 秋想Ⅱ
9 秋想Ⅰ
10 盛
11 和

※ 日本画10点(室内)、立体1組(屋外)総点数11点の展示です。

展覧会場入口
秋色の盛り花籠が飾られた画廊入口。
 
溢想 春想Ⅳ
     作品「溢想」           作品「春想Ⅳ」

春想Ⅰ
作品「春想Ⅰ」 桜の花に込められた深い想いを表現。

記憶
作品「記憶」 胡蝶蘭への忘れられない記憶

春想Ⅱ 春想Ⅲ
     作品「春想Ⅱ」         作品「春想Ⅲ」

展覧会場
展覧会場

群
作品「群」
 
秋想Ⅱ 秋想Ⅰ
  作品「秋想」Ⅱ       作品「秋想Ⅰ」 
緑葉が徐々に黄葉に変わる頃、落葉樹の小枝は空に向かって伸び、明るい秋空が広がります。

盛
作品「盛」

和
作品「和」 作品の中に入ったり、登ったりできたら楽しそうです。

和部分
作品「和」部分 
陽気なモザイク装飾は、スペイン人作家アントニ・ガウディのイメージに繋がります。

堀田淳一さん
堀田さんはパンリアル展、堺美術協会展、国際ART GRIGE展、LA VOZ展などに出品し、国際的にもご活躍中です。現在、アールブリュット作品の企画展を計画中で、今後の展開が楽しみです。


11/03 23:28 | 展覧会
英ゆう展(2015.10.6~18)を終えて
英ゆう展(2015.10.6~18)を終えて

≪展示作品≫
1 Dog+Sea+Phuang-Ma-Lai(版画)
2 巴三葉(キャンバスに顔彩)
3 untitled(版画)
4 untitled(版画)
5 untitled(版画)
6 花器柳(キャンバスに顔彩)
7 空から降ってきた子と出逢う(キャンバスに顔彩)
8 浮かぶ子(キャンバスに顔彩)
9 柳床(キャンバスに顔彩)
10 柳静(キャンバスに顔彩)
11 暴柳(キャンバスに顔彩)
12 緑風(キャンバスに顔彩)
13 母子浮遊(キャンバスに顔彩)
14 手の器(陶器)

Dog+Sea+Phuang-Ma-Lai
作品「Dog+Sea+Phuang-Ma-Lai」
「タイの花環」と「犬」を画面上で大小逆転して組み合わせた不思議な世界

展示会場
畳の間とは言えギャラリー空間なので、立って観賞して頂くことがほとんどです。
でも今展は、大きめの和式座布団を前に「どうぞ座ってご覧ください」とお声掛けして、低い目線から落ち着いて観賞して頂きました。

巴三葉
作品「巴三葉」
心地よさそうに過ごしているタイ王国の犬達は、くつろぐ女性たちにすり替わります。

untitled untitled untitled
作品「Untitled」3点  三本足の八咫烏と犬の目線がユーモラス

花器柳
作品「花器柳」           

暴柳
作品「暴柳」
幽霊は柳の下に現れて暗いイメージに思われがちですが、柳は春一番に芽吹きます。冬から春に向かって勢い良く芽吹く生命力あふれる木で、枝は風に揺らいで躍動感があります。英さんの幽霊は異次元の宇宙から滑り降りてきた柳の精のようです。

緑風
作品「緑風」
松の樹の下でくつろぐ母と天からの授かりものの我が子。   

英さんと湧久君
英ゆうさんと1歳3ケ月の湧久君
ご出産をきっかけに油絵具から顔彩に、タイ王国の花環から日本の柳と松に変わりました。

母子浮遊
作品「母子浮遊」

空から降ってきた子と出逢う
作品「空から降ってきた子と出逢う」  

浮かぶ子
作品「浮かぶ子」

柳床 柳静
     作品「柳床」        作品「柳静」

英ゆうさん
長沢芦雪の幽霊画に興味を持たれている英さんは緑色がお好きです。

手の器 手の器裏側
作品「手の器」           作品「手の器」の裏側
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英さんは、何度か湧久君と一緒に展覧会場に来られました。大泣きするワックンを抱っこして寝かしつける英さんはとても優しいお母さん、育児の合間に集中して制作される時は作家にと、一人何役もの多忙で充実した日々をお過ごしです。その中から生まれる新作を楽しみにしています。どうぞご活躍ください。
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最後に英さんからの文章を掲載させていただきます。

出産後、重い腰を上げるに大変良い機会をいただけて、
また、自分でも思いがけない展開に導かれたことに大変感謝しております。
あの空間では立って鑑賞するととても落ち着かないので、座ってゆっくり見ていただいたり色んな方とお話ができて本当にありがたかったです。(英ゆう)


11/02 11:30 | 展覧会
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