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伊吹山 2014.7.31
伊吹山 2014.7.31
第389回「自然と語る会」(参加者18名)
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JR膳所駅発7:22→石山駅着7:26・貸し切バス石山駅北口発7:30→名神高速瀬田東IC→多賀SA着8:30→関ヶ原IC→伊吹山ドライブウェイ→9合目駐車場(標高1,260m)着9:40→西登山道→伊吹山(標高1,377m)頂上付近着11:00(昼食)→東登山道→駐車場→北尾根登山口?(1,120m)→山室湿原着14:20→新海浜着15:50→石山駅北口着17:20→膳所駅→帰宅
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朝日
起床5:30。久しぶりに眩しい朝日を浴びて爽やかな一日がスタート。

貸切りバスは伊吹山ドライブウェイ(開通50周年 全長17km)を登り、9合目の駐車場に到着。入山料300円を支払って「伊吹山花だより」のプリントを手に、西登山道からウォーキングを開始します。

キヌタソウ
キヌタソウ

お花畑は、
一面に高山植物が咲く色鮮やかなお花畑を期待するのですが、今年は少ししか咲いていません。シモツケソウのピンクの花はほとんど消え、アカソやフジテンニンソウ(富士天人草)などの群落が広がっていました。イノシシや鹿の被害も増加する中、ボランティアの人達は以前のお花畑を取り戻そうと地道な活動を試行錯誤、検討中です。

ホオジロ ホオジロ
遠くのホオジロと近くのホオジロ(同一個体)

シモツケソウ ヒヨクソウ ヒメフウロ
     シモツケソウ           ヒヨクソウ             ヒメフウロ

キオン キンバイソウ ウツボグサ
     キオン              キンバイソウ           ウツボグサ
            
イブキフウロ アカソ メタカラコウ
     イブキフウロ          アカソ               メタカラコウ      


東登山道
東登山道を歩く語る会のメンバー

コオニユリ ミツモトソウ クサフジ
      コオニユリ           ミツモトソウ             クサフジ

ヤマアジサイ クガイソウ
     ヤマアジサイ          クガイソウ

マルバタケブキ イブキトリカブト
   マルバタケブキの蕾        イブキトリカブト    

カワラマツバ カワラナデシコ クサボタン
     カワラマツバ          カワラナデシコ             クサボタン
寂しいお花畑でしたが、丁寧に探せば駐車場の斜面など思わぬところで可愛い植物に出会えます。

ヘリコプター
駐車場から山頂付近を見上げると、ヘリコプターが救助活動中です。この暑さで熱中症でしょうか? 私達も気を付けましょう。
北尾根
1,120m地点でバスを降ります。(ドライブウェイ側から見た北尾根)

トラバース道
笹叉へ行くトラバース道(山の斜面を横断する道)を少し歩きました。このあたりを静馬ヶ原といい、重なる山並みが遠くまで続く静かな山道はとても爽やかです。

伊吹山
次の目的地・山室湿原(米原市)は、伊吹山を背景に田圃が広がる自然豊かな所にあります。

サギソウ ヒツジグサ カザグルマ
      サギソウ           ヒツジグサ           カザグルマの綿毛

≪カザグルマとテッセンについて≫
引用資料URL http://blogs.yahoo.co.jp/fleppland/4110607.html
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『花被片(花びらやガクのこと)が8枚のものがカザグルマ、6枚のものがテッセンなどと書かれている園芸書や植物図鑑がありますが間違いです。いまや絶滅危惧生物となってしまった野生のカザグルマ(Clematis patens)にはいろいろなタイプのものがあって、花被片が8枚の個体が多いものの自生する地方によって花被片が6枚のものから100枚以上に及ぶ八重咲きのものまで様々なものがあります。四季咲き性のものもあって、夏に咲いた花は多くの場合花被片が6枚です。一方、中国原産のテッセン(Clematis florida)は、普通6枚の黄緑色の花被片を持ちます。カザグルマとテッセンは、形質上非常に大きな違いがあります。カザグルマの葉が普通ハート型の三つの葉に分かれる三出複葉(または、もう一度分かれた二回三出複葉)なのに対してテッセンの葉はヨモギやセリの葉のように細かく切れ込みの入った複雑な構造になっているということです。つまり花被片の数にかかわらず形態上から大輪系クレマチスの殆どは日本の野生植物のカザグルマを基本親として改良されたものと考えられます。それから、クレマチスの花は花びらではなくガクだという記述をよく目にしますが、ガクと花びらはどちらも葉が変化したもので、構造的にも発生的にも同じものです。そのため、どちらも花被片(かひへん)という一つのものに分類されます。ただ、両方あるときに、外側にあるものを外花被(ガク)内側にあるものを内花被(花弁)と便宜上呼んでいるに過ぎません。日本人はガクか花びらかにこだわりますが、科学的には無意味なことと言えます。とくにキンポウゲ科のような原始的な双子葉類やユリの仲間の場合は、外花被と内花被に区別がないものや外花被の方が美しいものも多くみられます。』
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ヌマトラノオ ヘラオモダカ
      ヌマトラノオ          ヘラオモダカ

最終目的地は最近TVで放映された彦根市新海浜の「ハマゴウ」です。

ハマゴウハマゴウ
ハマゴウ(浜栲)はクマツヅラ科で7~9月に青紫の花をつける県指定の絶滅危機増大種です。
新海浜に自生する希少植物のハマエンドウとハマゴウは、「ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例」に基づき生育地保護区に指定し守られています。

ところで、海浜植物のハマゴウが、なぜ淡水湖の琵琶湖で生育しているのでしょうか?
京都大学 大学院人間・環境学研究科/総合人間学部 瀬戸口浩彰研究所のテキスト抜粋を掲載します。
引用資料URL http://setolab.h.kyoto-u.ac.jp/research01.html
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(略)琵琶湖にはこのほかにもハマゴウ,ハマエンドウ,ハマナデシコ,ハマダイコン,タチスズシロソウのような「海浜植物」が生育していることがわかりました。湖岸の景観を彩っている松は,赤松ではなくて黒松なのです。アカマツは内陸生の植物で,根は所謂マツタケと共生します。一方でクロマツは海岸生で,根系はショウロ(松露)という菌類と共生しています。
(略)琵琶湖は今から約400万年前に,三重県の伊賀の辺りに形成されて(大山田湖)その水は東海湖を経て伊勢湾に注いでいました。古琵琶湖はそののちにだんだんと北上し(今の甲賀あたり),さらに西に移動して(信楽や蒲生あたり),今の場所にたどり着いたのが約40万年前であると推定されています(Yokoyama1984)。
(略)琵琶湖のハマヒルガオが,海岸の集団から長期間にわたる隔離を受けているならば,琵琶湖のハマヒルガオのDNAにその証拠が刻み込まれているはずです。つまり琵琶湖のハマヒルガオのDNAは,海岸のそれとは異なるものに分化していると予想されます。
(略)もしも,海岸のハマヒルガオの一部が古琵琶湖に閉じこめられたならば,琵琶湖のハマヒルガオは出発点からして少数の個体から形成されたはずなので,遺伝的な多様性が低くなっていると予想されます。そこで私たちは,日本全国の海岸と琵琶湖の湖岸,あわせて63地点から膨大な数のサンプルを集めて,葉緑体DNAと核DNAの解析を進めました。
(略)解析の結果:琵琶湖のハマヒルガオのDNAは,海岸のそれとは大きく異なるものに分化していたのです。琵琶湖のハマヒルガオの葉緑体DNAハプロタイプは,ほとんどが琵琶湖固有の3タイプになっており,海岸と同じタイプはごく少数でした。核DNAのマイクロサテライト解析でも,琵琶湖と海岸の集団は異質な遺伝的構成をもっていることが支持されました。これらの結果は,琵琶湖のハマヒルガオは,海岸から長期間にわたる隔離を受けていることを示唆しています。
(略)また,琵琶湖のハマヒルガオの遺伝的多様性は海岸集団の平均値の半分でした。そしてどちらかと言えば近親交配気味であることがわかりました。琵琶湖のハマヒルガオは,その祖先集団が陸封される際に,小さめな集団からスタートしているために遺伝的な多様性が低くなっていると考えられます。
(略)このように,海岸に適応した「同じ種:Species」 が,淡水湖に陸封されることによって,どのような変化が起きているのでしょうか。私たちは,耐塩性の喪失を想定しました。生き物にとり,新たな形質の獲得は大変な苦労を伴うのですが,機能を失うことは簡単なことなのです。たとえば光合成をすることを止めて寄生の生き方をした寄生植物は,光合成に関する重要な遺伝子を いとも簡単に偽遺伝子化しています。生きるうえで必要が無くなった遺伝子は,選択圧を受けることが無くなることによって簡単に偽遺伝子になってしまうのです。このようにしてみると,「耐塩性の獲得」と,これに伴う進化・種分化の研究は,琵琶湖に陸封された海浜植物の耐塩性喪失という観点から研究することに 「分 がある」と考えました。これまでのところ,琵琶湖の海浜植物は海岸の個体に比べて
 1.葉が薄い
 2.フラボノイドの構成が大きく異なる(海のものがSPF50+++の日焼け止めクリームを使っているとすると、琵琶湖の個体はSPF20++くらいのクリームを使っているようなもの)
 3.加塩されると植物体に塩を過剰に(海岸の個体よりも多く!)取り込む。
 4.加塩されると気孔を閉鎖気味にして光合成量が低下する。

という結果が得られています。

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かなり省略しても、随分長い説明になりました。

新海浜
静かな海水浴場・新海浜を後にバスは大津に向かって走りだしました。
初めて観た植物「ハマゴウ」の爽やかな青紫色は印象的で、新海浜は琵琶湖なのに海のイメージが広がりました。


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08/09 16:39 | 山歩き
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