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熊魚菴 2009年11月10日
京料理 熊魚菴 本店 2009年11月10日(火)

1200年にわたって、
引き継がれた京都の歴史は、
今もなお、日本の文化や伝統が、
受け継がれています。
その食文化の粋を伝える京料理―。
東山を借景に閑静なたたずまいの「熊魚菴」は
天然の旬の魚、新鮮な京野菜、
静寂な空間で時季の妙味と風情を楽しみます。

11月10日は私の誕生日前日で、夫と誕生日祝いの食事をします。
秋の特別企画・清流亭散策プランを12時に予約。
11時半ごろに熊魚菴に着くと、ずっと待って居られたのか、玄関でのお出迎えを受けて、清流亭にご案内して頂きます。

seiryuutei 1


seiryuutei 2

清流亭は明治・大正きっての数寄屋工匠、北村捨次郎と庭師小川治兵衛による未公開庭です。大正4年に東郷平八郎元帥が「清流亭」と命名。

「熊魚菴」は平田精耕元天竜寺派管長の言葉「珍味は熊の掌と鯉の唇」から命名と伺いました。
counter

板前割烹の草分け、10mのとても見事な栂のカウンターが迎えてくれます。カウンターの奥は湧水が流れる庭に椿、笹などの緑が爽やかです。
1 リンゴ酢 (写真無し)

sirogomaae

2 柿 キュウリ カブラの白胡麻和え(タツタガワ紅葉の器)

kani

3 蟹 キュウリ モロミ

suppon

4 スッポン 豆腐 ネギの小鍋

otukuri

5 お造り 鯛 雲丹 紋甲イカ

isiyaki

6 石焼き 海老 イカ 海老の頭 ピーマン 牛肉

hassun

7 焼き物八寸 
銀鱈 銀杏はんぺい スジコ 栗 菊花蕪 半熟玉子大根伽羅煮 牛蒡松葉 紅葉生麩

kaburamushi

8 蕪蒸し

gohan

9 シメジ炊き込みご飯 赤だし 香の物

dessert

10 デザート 
マンゴー 巨峰 梨 ザクロ ワインゼリー
アイスプラント(プッチーナ) [佐賀県産で冬の物 青磁色で多肉植物?塩が噴出している]

kakiyoukan

11 小さい柿羊羹

mattya

12 抹茶

ゆったりと静かに時間が流れて、満ち足りた思いでいると、前の大きなガラス越しに少し雨が見えました。雨が降り始めた外の様子が室内に届きます。  
誕生日前日の嬉しい御祝をありがとう。

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11/27 09:26 | 日々
カツラの谷
カツラの谷  2009年11月9日

「自然と語る会」 第293回「カツラの谷」に参加しました。 参加者16名。
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石山駅北口(チャーターバス)8:15発→西武大津店前で途中乗車8:30→道の駅「藤樹の里あどがわ」→朽木 いきものふれあいの里10:00着→カツラの谷11:50着→昼食後13:00同じコースを戻る→いきものふれあいの里14:45発→西武大津店前17:00着
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朝からの濃い霧を遠くに見ながら、気分は明るく自宅を8時前に出発。その霧のためJRが遅れ、私達のバスも石山駅北口を15分遅れて出発して北へ向かいます。道の駅「藤樹の里あどがわ」で休憩して、「焼き鯖寿司」を2本購入して、早々に夕食の心積もりをします。

kouyou

朽木 いきものふれあいの里に到着(10:00)して、ここから蛇谷ヶ峰(ジャダニガミネ)方面に向かって歩きます。蛇谷ヶ峰(902m)は琵琶湖の湖西、比良山系の北、高島市朽木にそびえて、地元では「オグルス」と呼ばれ、琵琶湖側から見ると堂々とした山姿だそうです。登山ルートはいくつかあって、最近はいきものふれあいの里から登る方が登山道が整備されていて一般的らしいです。今日の目的地はその途中の「カツラの谷」です。シーズンオフの松茸山を通り過ぎ、紅葉、黄葉、果実を楽しみながら進みます。

naneko

すると、ナメコが沢山生えている枯れ木を発見。大喜びして、背伸びして、木に登って採集します。(背が低い私の手はとても届きません)新鮮なナメコは松茸より美味しそうです。今夜の食卓にはナメコ汁とおろし大根ナメコ和えが良いですね。小さいクルミも沢山拾いました。サワグルミでしょうか?今日は山の幸に恵まれ「収穫の秋」です。

katura

カツラなどの大木が集まる場所があり、カツラの谷と呼ばれています。苔むした岩の間を流れる水とカツラの大木が相まって美しいです。

kaede

カエデ

mamusigusa

マムシグサの説明を少し。
雌雄異株の植物は少なくありません。実はマムシグサも雌雄異株。栄養をとって大きく成長した株だけが雌になり、花を咲かせて、こんな赤い実をつけます。小さいと雄株になります。ヒトなどごく一部の生き物を除くと、ふつうはメスのほうが体が大きくなります。卵を産んだり、子育てには大きい丈夫な体が必要ですから。その雌株ですが、ずっと雌のまま、というわけではありません。翌年急に日当たりが悪くなって大きくなれなかった、成長の途中で虫に食われた、折れて大きくなれなかった、あるいは実を付けすぎて次の年に大きくなれなかったら、雌になるのをやめて、雄になります。こんなに臨機応変に雌雄が変われるなんて、生き物の不思議を感じます。

takanotume

タカノツメ(鷹の爪)[ウコギ科タカノツメ属]の説明を少し。
葉は3出複葉で秋に黄葉します。5月から6月ごろ、散形花序をだし小さな黄緑色の花を咲かせます。果実は液果で、秋に紫黒色に熟します。また若芽は山菜となります。名前は、冬芽のかたちが鷹の爪を思わせることからです。

今回の写真は6枚とも大西さんの撮影です。私の撮影した写真はパソコン内での操作中に不注意からデータを破損しました。近頃、うっかりミスが増えてきてシュンとしています。

11/26 21:57 | 山歩き
岩村俊秀展
ギャラリー揺 シリーズ企画「光と影」 IV
岩村俊秀展 ―石層―「The First of a Billion」(2009.10.27~11月8日)を終えて 

シリーズ企画「光と影」 IV は山本哲三先生ご紹介の石彫作家・岩村俊秀さんです。
素材は花崗岩より硬くて重い閃緑岩センリョクガン(能勢石)で、展示総点数は9点です。

iwamura work 1

板間の作品
石層ー月 翔けし Stone StratumーThe flap of wings in the moonlight
石層ー昇華 Stone StratumーHe had sublimated
石層ー月と水の関係 Stone StratumーThe relation between moon and water

和室の作品
石層ーBOSATUS of the moonlight
石層ーBOSATUS of the sunshine
石層ー月のうた  Stone StratumーThe red moon sang
石層ー晩秋に来る人  Stone Stratumーkeep the late autumn in your mind

庭の作品 
石層ー月想いし Stone StratumーAt the thought of the moon
石層ー日出ずる時 Stone StratumーA corona

iwamura work 2


iwamura work 3

今年のシリーズ企画テーマ「光と影」から、「全作品に照明を入れよう」と最初に決めて、この空間に合わせて制作されたと伺いました。光を入れることによってできる影を含めての作品で、「作家が意図しないところで鑑賞者の心を動かせたい」思いが込められています。

「昇華」は上昇の形としてのS字構造から、子どもを抱くお母さんのイメージの作品で、仏像のようにも見えるそうです。日本人が持っている仏教の精神性と石の重さを感じさせない浮遊感の表現を求めて制作の日々が続いたことと思います。
不可能に近い高度な技術から、石とは思えない軽いイメージが生まれることに対しての驚きの声が多かったです。

『 風が石をえぐるように、水が石をまるめるように、土が石をつつむように 』の言葉は、岩村さんのファイルから引用しました。
続いて岩村さんから伺った「縁側の話」の説明を少し。
『縁側とは、よくいったもので、家の内側でもなければ外側でもなく、誰かが裏木戸を開け、「こんにちは」と声をかければ、そこで話がはじまって。事と次第によっては、縁側だけで話は終わり、また場合によってはお茶やお漬物がでて。さらに興がのったり、話がこみいってくれば、「ここで話もなんですから」と、はじめて家に通される。』

このような縁側の縁から「ご縁があって」という言葉も最近はあまり耳にしなくなり、人との関わり方も随分希薄になったようですが、ギャラリー揺では、庭に面して濡れ縁床几を設えています。良いご縁が生まれる空間として活動を続けたいと思っています。
       
展覧会中の玄関は、初個展御祝の華やかな花籠がずらりと並び花々の香りに包まれ、岩村さんご夫妻は沢山の来廊者に囲まれてとても楽しそうに会話が弾んでいました。

iwamura work 4

話題の締めくくりは岩村夫人・真季さんです。
「学生の頃は、手にノミと石頭を持って石を削っていた」と真季さんから伺いました。
実は、奥さんは岩村さんと同じ大学の2年後輩で、そこでお二人のお付き合いが始まり、石への興味から岩村先輩への愛情が芽生え現在に至っています。今は石から離れて自宅で「アトリエにんじん畑」を主宰。児童絵画、絵手紙、グラスリッチェン、トンボ玉を指導されています。詳しい情報はインターネット「にんじんにっき」「アトリエ にんじん畑」をご覧ください。

展覧会中は、お二人で揺に来られて、真季さんとは身近な話題に共感して大笑い。
とても楽しい2週間でした。  ありがとうございました。  

11/23 22:23 | 展覧会
比良山 2009年10月31日
比良山  2009年10月31日

「自然と語る会」 第292回「比良山」に参加しました。 参加者11名。
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JR膳所駅8:09発→ 山科駅8:17着 JR湖西線山科駅8:21発→堅田駅8:40着 
堅田駅8:45発(タクシー)→坂下着(タクシー一台運賃4310円)→平9:20
アラキ峠10:15→権現山(996m)11:00→ホッケ山(1060m)11:45→小女郎池12:40→蓬莱山(1,174m)→打見山(1,104m)→びわ湖バレイ山頂駅(ロープウェイ)15:15発→山ろく駅15:20着(1000円)→JR志賀駅16:24発→大津京→京阪皇子山→京阪膳所
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「綿向山」と「比叡山」(大宮林道)が雨で中止になったので、9月7日以来、久し振りの例会です。JR堅田駅前は登山者で賑わい、細川行きの江若バス停は長蛇の列なので、私達はタクシー3台に分乗して平に到着。ここからいよいよ山歩きが始まります。平からアラキ峠経由で権現谷までは急な上り坂が続きます。久し振りの登山のせいか、体力が無いせいかドキドキする心臓をなだめながら、一番後ろからゆっくり登ります。ホッケ山頂上からの眺望は悪くガス霞んでいますが、近くの紅葉、黄葉が美しいので見惚れていると、横で眺めていた仲間が教えてくれました。この風景を歌では「山粧う」と詠み、秋の季語。ついでに「山眠る」は冬の季語、「山笑う」は春の季語、「山滴る」は夏の季語だそうです。

hirasan

シカの被害除けに青いビニールテープが巻かれた杉林をゆっくり登り、ようやく小女郎池(標高1,060m)に到着。このあたりは湿原状で、長さ100m程の細長池は、地元の人たちから「雨乞いの池」として崇められているほかに、有名な悲哀伝説が語り継がれています。
―小女郎池伝説―
ふもとの南船路の里に久右衛門という夫婦がいました。ある日お孝は池のあたりへ薪を取りに来ていると、美しい青年(実は池の主、大蛇の化身)に会いました。以来夜になると池に通うようになりました。お孝の行動を不審に思った久右衛門が、ある夜あとをつけ、お孝が池に入るのを見て驚きました。気付いたお孝はお詫びのしるしにと左目をくりとって夫に渡し、「赤ん坊が乳を欲しがったら、これをしゃぶらせてほしい」と言い残して池に入ってしまいました。孝女郎が入った池だから孝女郎池、それがいつしか小女郎ヶ池になったと言われています。

ojyorogaike

昼食後は、池を一周してから、蓬莱山を正面に青空が水面に映る小女郎池を撮影しました。

ropeway

池を後に蓬莱山から打身山まで歩き、大型ロープウェイに乗車して5分で下山。上り坂の苦しさはすっかり忘れ、帰路は楽々で、とても早くあっと言う間の下山です。山ろく駅からの路線バスの乗り継ぎが悪く、長く待つよりは「歩こう!」とJR志賀駅まで道端の草花を見ながら歩きます。ノギクとキツネノマゴを撮影して今日の登山「比良の秋の一日」は終わります。

nogiku


kitsunenomago

キツネノマゴ(狐の孫)キツネノマゴ科の説明を少し。
「この草は、花が次々に咲いて、その後に種子を飛ばし終わった果実穂が長く伸びます。この果実穂をキツネの尾に見たててつけられた名前です。花の小さいところから「孫」の名前がつきました。」[名前といわれ・野の草花の図鑑2 偕成社より]

11/22 12:08 | 山歩き
Chris Nelson 展 2009年10月13日~25日
ギャラリー揺 クリス・ネルソン展「In The Space」(2009.10.13~25)を終えて 

昨年秋、クリス・ネルソン氏が揺に下見に来られた時は、「気難しそうなアーティストかな?」の印象を受けたのですが、この展覧会の2週間滞在中にその心配は消え去り、とても爽やかに楽しく一緒に過ごしました。彼は「修行僧」のように静かで、礼儀正しく、部屋は常に綺麗に整頓されていました。
揺に滞在中は美術館、画廊、寺院、時代祭、鞍馬の火祭り等を精力的に廻り楽しまれていました。画廊休日には、彼と私達夫婦の3人で奈良路の散策。興福寺で国宝・阿修羅像を拝観、依水園では日本庭園に「happy」、東大寺の大仏様には「amazing!」、二月堂、五風舎(画廊)と巡りました。


クリス・ネルソン展は、平面作品4点、立体作品3点を展示したインスタレーションです。「今日、画廊は休みですか?」「作品は何処ですか?」などと質問されるくらいシンプルな展示でした。展示作品が少ないので、ギャラリー揺のための展覧会と思えるくらい揺の空間が美しく見えました。これは揺にとって再発見。ギャラリー揺の名前は1/f揺を意識しています。常に移り変わる時間を見つめて、自然の変化を植物と共に受け止め、気持ちよく静かに過ごすせる空間を望んでいます。

展覧会中は連日天気に恵まれましたが一日だけ雨が降りました。その時の庭の作品の変化が面白かったです。ポールと同じ長さのプラスチックテープは、濡れるとぴったりポールに張り付き、また天気が回復して乾けば、またポールから離れて風になびいていました。 
彼の置き土産の作品を裏庭に置き、揺の和室の障子にプラスチックテープの影を映して、楽しんでいます。今もクリス展が続いているようです。

Gallery Yuragi
On Holding the Chris Nelson Exhibition "In the Space" (October 13-25, 2009)

When Chris Nelson came to visit Yuragi last fall for a preliminary
study of the gallery space, we got an impression that he could
potentially be a difficult artist to work with. However, such concern
was unnecessary during his two-week stay in Yuragi, and we were able
to spend a great time together. Like a "Shugyo-so (training monk),"
Chris is reserved and respectful, and always kept the room beautifully
organized.

During his stay, Chris enjoyed visits to art museums, galleries,
temples, and shrines, and observed events such as the Jidai Matsuri
(Festival of the Ages) and the Fire Festival in Kurama. On days when
the exhibition was closed, we took Chris to walk around Nara city.





Chris admired the Isuien Garden's Japanese-style gardens, and was
stunned by the Todai-ji's Daibutsu (the Great Buddha). We also
observed the Asura statue at Ko-fukuji Temple, and visited the
Nigatsu-do (The Hall of the Second Month) and Gofusha gallery.

The Chris Nelson exhibition was an installation composed of four
two-dimensional works and three three-dimensional works. It was a
simple and minimal installation, causing some people to question if
the gallery was open or where the works were exhibited. We felt as if
the exhibition was specifically meant for Yuragi, not only because of
the minimal nature of the works, but also because they complimented
the space very beautifully. This was indeed a big discovery for us.
The name of our gallery, Yuragi is derived from the concept of 1/f
noise.(*1) Our aim is to provide a space where one can quietly
contemplate on the movement of time and acknowledge the changes in
nature and in our lives.

We were fortunate to have good weather during the exhibition period
besides one day of rain. However, the rain's effect on the
installation in the garden was interesting; when it rained, the
plastic tape, cut to the same length of the pole, stuck to the pole
tightly, and when the sun came up again, it left the pole and floated
with the wind.

We have left Chris's gift, his installation, in the garden and admire
the shadows it creates on our Japanese-style room's shoji (sliding
paper screen). It is as if the Chris Nelson exhibition is still on
display.



(*1) In this terminology, "noise" is translated into "yuragi" in Japanese.
(Text translation: Tomoko Ishii)
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以下は、作家のコメントと京都新聞2009年10月17日 朝刊(美術欄)掲載記事の日本語文と英訳文です。     (テキスト翻訳:石井朝子)

Below, is a statement from the artist along with the Kyoto Shimbun
newspaper article on October 17 2009 (original Japanese and English
translation).



空間の中で
この3つの作品は、ギャラリー 揺の個性豊かな空間に合わせて制作しています。庭に面した小さい部屋たちは、調和が保たれており、内側と外側のスペースという関係を結んでいます。この建物の構造に影響を受けて、屋内の作品2点には自然の性質を、作品自体の動きや環境との関係により表しています。作品のサイズは、それほど大きくありません。鑑賞者は、自分と作品や空間とのつながりを意識することができます。作品は、鑑賞者がどのようにギャラリーに入り、どんな方法で作品に近づくかにより、直に反応します。鑑賞者の動作は、目に見えない空気の動きを作り、そしてそれはアートによって可視化されるでしょう。一方、半透明のプラスチックは、光や背景にあるものによって表面の色が変わります。これにより、新たに作品と空間、作品と鑑賞者の関係を深めることになります。

屋外の作品は、内側と外側のスペースという関係によって、屋内の作品とつながっています。屋外では、風によって動きが生まれ、見えない要素が動く木の枝や葉っぱにより、形が与えられています。しかしながら設置しているプラスチックは、庭の環境の中で動くことにより、常に変化する風の性質をより明らかにすることでしょう。この作品は、庭のように人の手により創出され、自然を模造しつつ、自然の美しさと静けさを強調しています。本展のインスタレーションは、Gallery 揺の建築同様に、調和と静穏を創造しつつ、内側と外側のスペースについて表現の追及としています。

クリス・ネルソン


In The Space

These three pieces were chosen in response to the unique qualities Gallery Yuragi has. The small intimate rooms ,which look out into the garden, have a balance and direct relationship between interior and exterior space. Responding to this architectural design, the two interior pieces reflect the qualities of nature through their movement and relationship to their environment. Though small in size, they make the viewer aware of their association between the piece and the room itself. How a person walks into the galleries and approaches the pieces is directly echoed by the work. The viewers’ motion creates an invisible movement of air made visible by the art. Meanwhile, the translucent quality of the plastic causes its surface to change colors depending of the light and background set against it. This also links the piece to the space and the viewer in how and when they look at the work.

The piece outside relates to the other two pieces, drawing a link between the interior and exterior space. The main difference is the movement is created by wind, and like the branches and leaves, gives from to an invisible element. However the plastic’s movement defines more clearly the constant change in wind as it interacts with the garden environment. Like the garden, it is man made, created to mimic nature and highlight its beauty and calmness. Overall, like the architecture of Gallery Yuragi, the entire installation is meant to speak about interior and exterior space while creating a sense of balance and tranquility.

Chris Nelson
(Translation by Tomoko ISHII)

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京都新聞  2009年10月17日 朝刊 9面(美術欄)
クリス・ネルソン展 ―微細で豊かな変化を可視化―
あるひとつの空間の中に物を置き、その空間全体を作品として体験させるインスタレーションという手法が、現代美術の世界で一般化して久しい。もちろん絵画や彫刻といったジャンルがそうであるように、インスタレーションと一言で言っても、さまざまなかたちがある。米国出身のクリス・ネルソンが今回の個展で作り出したインスタレーションはそうした多様なインスタレーションのひとつの極を示している。
それは、あたかも道ばたで風に揺れる一輪の花のような、ともすると見落としてしまうほどささやかなものだ。平面作品4点、立体作品3点で構成されているが、平面作品はいずれも真っ白な紙の一部に、小さな傷をつけたかのようなもの。他方、立体作品はいずれも、半透明のプラスチックシートが素材。シートは細長く、あるいは正方形に切られ、屋内の天井や庭に設置されたボールにつるされている。
一見すると禁欲的ともいえるほど最小限に切り詰められた表現のように思われるが、作品は豊かな表情を持っている。太陽の光が雲にさえぎられれば、平面作品の真っ白な色面とそこにつけられた傷は、光に合わせてほんの少し暗くなる。風が吹けば、立体作品は、あたかも生命をもっているかのように動く。クリス・ネルソンの作品は普段は体感することのできないくらいの微細な環境の変化を可視化する。僕たちをとり巻く環境は刻々と変化していることを、そして世界は同じ刹那など二度とないことを伝えてくれるのだ。
(安河内宏法・京都芸術センターアートコーディネーター)

"Visualizing Rich and Detailed Change: The Chris Nelson Exhibition"
Originally printed in Kyoto Shimbun, October 17, 2009

Installation is a recently acknowledged art form in contemporary art, which involves placing an object in a space, and regarding both the space itself and one's experience in it as a work of art. Much like painting and sculpture, installation is a diverse art form. US-based artist Chris Nelson's work is not an exception and exemplifies one extreme of the genre.

The works are presented modestly, and like a flower that grows on the sidewalk moving faintly in the wind, one might not immediately register them. The exhibition consists of four two-dimensional works and three three-dimensional works. The two-dimensional works are made of white paper with sections containing small scratch-like marks. Meanwhile, Nelson uses a translucent plastic sheet for each of the three-dimensional works. The sheets are cut into a thin long strip or a square, and are suspended from the ceiling or a pole in the garden.

At first glance, the works may seem minimalistic in expression and evoke a sense of stoicism. However, Nelson's works are filled with character. When passing clouds interrupt the sunlight, the bright white paper and its marks mirror the movement of the light; when the wind blows, the three-dimensional works move as if they were alive. Nelson's works materialize the small changes in the environment that we rarely notice. They convey how the environment surrounding us changes every second, and that no two identical moments exist in this world.
Text: Hironori Yasukochi (Art Coordinator, Kyoto Art Center)
(Translation by Tomoko ISHII)

11/19 22:34 | 展覧会
龍神温泉 和歌山県立近代美術館 2009年10月5~6日
龍神温泉 和歌山県立近代美術館 
2009年10月5日(月)~6日(火)
一日目 
8:30自宅出発―名神・大津―吹田―近畿道・松原―阪和道―紀伊田辺―龍神温泉
の予定なのに誤って大阪市内に入り阪神高速・泉佐野―海南―南紀田辺―龍神温泉(宿泊)
二日目
8:30龍神温泉出発―高野龍神スカイラインー護摩壇山―10:50阪和自動車道・南部―和歌山 和歌山県立近代美術館―阪和道・和歌山―堺―近畿道・堺八尾―名神・吹田―大津

ギャラリー休廊の週に夫と1泊2日で雨模様の中を和歌山に向かいました。
道を間違えながら、龍神温泉に辿り着き昼食です。レストラン「龍の里」で、焼いてから煮たアマゴがのっている「あまごそば」が美味しくて、軟らかくて頭から尻尾まで食べました。
ここで龍神温泉の説明を少し。
高野龍神国定公園、和歌山県内では、最長の清流・日高川沿いに位置する、有数の歴史を持つ温泉郷。その昔、役小角によって発見され、弘法大師が開湯したと伝えられています。群馬の川中・島根の湯の川と並んで、日本の三大美人の湯としてその名を知られています。その龍神温泉の旅宿「上御殿」は、江戸時代初期、明歴3年(1657年)紀州藩主徳川頼宣公に公の御旅の管理を龍神家に命ぜられ、「上御殿」の屋号を賜ったそうです。

kamigoten

「上御殿」本館は平成11年に国の登録有形文化財に指定されました。
夕食までの時間に、近くの「曼陀羅の滝」あたりを散策してから、「龍神温泉元湯」で杉木立の美しい山々を眺めながらの露天風呂に入浴して、ゆっくりと疲れを洗い流しました。

dinner

夕食は鹿の背中の肉、柚餅子、イタドリ、ポテトのあんかけ、蒟蒻の酢の物、地鶏鍋、とろろなど山の幸、川の幸を頂きました。

hot spring


泊り客は少なくて貸し切り状態で、内湯と露天風呂に何度も入り十分満足の温泉宿でした。

2日目
宿泊宿「上御殿」を8:30出発。高野龍神スライラインの深い霧の中を私が運転しました。約1時間で高野龍神スカイタワーに到着しましたが、濃霧でほとんど何も見えず、下山。

Isamu Noguchi Work

途中の護摩壇森林公園でイサム・ノグチの作品「石器時代」(1982年)を観ました。
阪和自動車道・みなべインターから入り和歌山インターで降りて和歌山県立近代美術館に行きました。館内レストランで昼食後、「自宅から美術館へ 田中恒子コレクション」展を観ました。
今迄、あちこちの美術館やギャラリーで観ていた作品に、久し振りに再会し懐かしく感じました。中でも、「笹谷 晃生 草木No.5406 2007 鉄 陶」はギャラリー揺の笹谷晃生展のときに田中氏が購入されたものでした。

以下、この展覧会の説明は、和歌山県立近代美術館・チラシの引用です。
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「現代美術と一緒に暮らす」ことを楽しみに、ひとりのコレクターがみずからの足で歩き、選び、集めてきた作品の数々。関西の若手作家を中心に、100人以上による1000点を超える作品の中から、日々ともに暮らすという視線に従って作品を選び、紹介します。
田中恒子氏は住居学を専門とする教育者で、家庭科教育にも携わり、長く大阪教育大で教鞭をとってきました。実際の住まいを調査し研究するとともに、「ていねいに暮らす」「美しく暮らす」という住まい方の提案を行ってきた田中氏。それに続く提案が、自身の実践に伴う「現代美術と一緒に暮らす」というものでした。20年にわたって集められた作品は、やがて住まいの枠を超えてあふれる程になります。個人の楽しみであるとともに、今まさに生み出されつつある現代の文化財を後世に伝える行為としてのコレクションが、より広い場を求めて美術館へとつながります。
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展示ホール、2階展示室C、1階リーディングコーナー、2階ホール、屋外(館北西角)計128作家 640点を観て、「コレクション展2009-秋」も加えて観賞時間は約3時間半を要し、十分堪能して、16:45阪和道・和歌山インターから大津に帰りました。

11/18 22:48 | 旅行
川上大介展
ギャラリー揺 川上大介展「approach to signs」(2009.9.29~10.4)を終えて 

陶の展覧会が続きましたが、川上大介展は陶芸ではなく、
焼いてない粘土板に動物の足跡や落ち葉がついています。




作品は玄関、板間、和室、庭の4ヵ所に粘土板3点と写真、山で収集したものの展示です。

玄関  カモシカの角、シカの角、パネル(コメント掲示)
板間  写真(朝の修学院の風景)
傾斜板上に粘土板3枚(シカ、イノシシの足跡)
     写真(昼の岩倉の風景)
水平板上に粘土板3枚(シカ、イノシシ、タヌキの足跡)
     シカの角、トンビの羽根
畳の間 粘土板4枚(シカの足跡) 
大文字山の夜の空間 暗い和室に懐中電灯一つ点灯
シカの角
音響(夜間、大文字山でイノシシの鼻息などを収録)
庭   シカの角



以下は玄関のパネルに書き記された作家本人の文章です。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
粘土を背負い山を歩く。歩き出して20分もすれば、もう人の気配はない。
あたりを注意深く観察しながら、粘土を仕掛けるポイントを探す。
ここだというポイントを見つけたら、倒木を獣道に横切らせ、野生動物がちょうど足を下ろすであろう場所に粘土を仕掛ける。
半日落ち葉を煮詰めて作った液体を撒き、粘土やこの場所についた自分のにおいを消す。
すぐ近くから、こちらの様子を伺っている動物の気配に気づく。
気配同士がぶつかり合い、空気は緊張し私もひとつの生き物としてここに存在していることを実感する。  川上 大介 
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
山の自然の空気に魅かれて、月に一度位は近くの山に入り季節の植物を写真撮影します。
もちろん昼間なので、めったに野生の動物には出合えません。今回の展覧会で夜行性動物の気配を体験しました。粘土板の足跡を注意深く見ることによって、シカ、イノシシ、タヌキには出合っていないのに、今までの記憶を手がかりに様々な想像を巡らせて、より深く闇夜に実体を探すことができました。そして、次は足跡ではなく本物を見てみたい気持ちになる展示でした。会期中は、和室を閉め切っているために山の臭いが籠もり、板間にはシカの糞があるために、雨の日は特に、山の自然の匂いが広がります。(臨場感を高めて効果的という意見もありました。) 現代社会で日常生活が営まれる中、息詰まる閉塞感からのがれる思いで自然界をテーマにした展覧会は多いのですが、表現の難しいテーマ「緊長した空間」への挑戦に共感しました。今後、粘土板のままの大胆な展示から次への展開を期待しています。






11/04 21:35 | 展覧会
吉村美智子 展 
ギャラリー揺 シリーズ企画「光と影」III
吉村美智子展 ―陶―「日常のシルエット」(2009.9.15~27)を終えて
 


北本裕二さん推薦の吉村美智子さんにギャラリー揺のシリーズ企画展出品をお願いしました。ご承諾頂いた後に、ご懐妊のニュースが舞い込み今年2月22日・猫ニャンニャンの日に男子(4kg)をご出産。その時の感想は「バリ バリッ!と痛かった。」そうです。ご主人様似の元気な赤ちゃんの名前は「虎ノ輔」君です。本当におめでとうございます。
その日から制作と育児の2本立て生活が始まり、以前とは違う時間が流れ、日常の小さな変化を見つめ直し、限られた時間の中から湧き出てくる感情を昇華させる日々が続いたことと思います。子育てに追われて制作が儘ならないかなと心配しましたが、「案ずるより産むが易い」の諺の如く「日常のシルエット」の作品が無事に生まれました。

作品は玄関、板間、和室、庭の4ヵ所に展示。
作品の特徴は、釉薬をかけない磁器の肌合いで、思わず手を差し伸べて触れたくなります。
案内状の写真・虎ノ輔君の手を思い起こさせる柔らかな膨らみや優しいフォルムが印象的です。


日常的な物のシルエットの作品「ピッシャン」は水の跳ね返りのイメージです。
庭に展示の作品「空」は隙間の形を表現しています。この作品から隙間の「雲の形」をイメージするのは解説なしでは難しいです。この隙間に対峙して物と物の関係、隙間の必要性と意味を考え直す機会を与えてくれる作品でした。様々な隙間を連想して「空の隙間」から横道に逸れますが、随分昔に私が石垣の隙間を描いたことを思い出しました。隙間は心の隙間にも通じる思いで、隙間の大切さを表現したかったのでしょう。

次に吉村さん語録をいくつか紹介します。
「自分の中に蓄えられた一瞬一瞬の感動を誰かと共有することは難しい。」
「自分の中に留めた感動をいつ吐き出したらいいのか?」
「例えば影を美しいと感動したその瞬間を抽象と具象の狭間に作品として留めたい。」
「日常生活の無意味を伝えたい。」などが印象に残りました。

最後に吉村さんのエピソードを1つ紹介します。
京都造形芸術大学 大学院合格通知を手にするや否や、この先の2年間の変化の少ない生活
に甘んじてはいけないと思い、突然「留学」を計画。そして大きな環境の変化を求めてスイスへ3ケ月間留学して、貴重な体験をして帰国、学んだ陶芸の技法は今に繋がっているそうです。



行動力があり、可能性の多い吉村さんの将来を見守りながら、
今後のご活躍を楽しみにしています。 
初個展 お疲れ様でした。


11/02 00:33 | 展覧会
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