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北中幸司『銅版スケッチ』展 (2022.6.7~19)を終えて
北中幸司『銅版スケッチ』展 (2022.6.7~19)を終えて
― 草木の 息する あいだに ―

北中幸司氏の個展は京都では9年ぶり、東京のGallery SU(東京)では3回開催されています。そして幣ギャラリーでは、今回初めて開催して頂きました。
梅雨入りした影響で雨や曇りの日が多いかと気がかりでしたが、晴れ間がのぞく日もあり心配には及びませんでした。展覧会場のガラス戸を全て開け放ち、風や光を室内に取り込んだ中で、落ち着いて丁寧に作品観賞して頂けるように努めました。庭の樹々の緑を背景に、制作者の緻密なスケッチ表現を辿って自然の偉大さに出会えた気持ちになりました。

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展覧会場入り口

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作品 「梅の実」

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展覧会場板間

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作品「樹幹」

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作品「森の風景」

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展覧会場板間

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作品「木群」

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展覧会場板間

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展覧会場板間

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展覧会場畳間


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作品「大風のあと」

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作品「望景」

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展覧会場畳間

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作品「将棋を指す万里」

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展覧会場畳間

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展覧会場畳間

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「Gallery SUから、この展覧会のお知らせを頂いて観に来ました。」と、何人かの来廊者から伺った時、私には遠い東京なのに近くに感じられて嬉しかったです。
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Gallery SU(和朗フラット四号館)

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【銅版画の制作工程(ソフトグランド・エッチング)】

1. 銅板の四辺をやすりで削り、表面をペーパーで磨く。
2. ウォーマーで銅板をあたためながら、ローラーを使ってグランド(防蝕剤)を塗る。
3. 銅板を台紙に貼る。その上に薄紙をかぶせて、テープで固定する。
4. 薄紙の上から鉛筆で絵を描く。
5. 描き終わると、薄紙を外す。描いた部分は圧がかかって、銅板の表面のグランドがはがれている。
6. 銅版を腐蝕液に浸ける。グランドがはがれ銅の表面が見えている部分が腐蝕されて凹部になる。
7. 薄くしたい部分は、液体のグランドを筆につけて塗る。塗った部分はそれ以上腐蝕されない。
8. 腐蝕液に浸ける→グランドで止める、の工程を3回くらい行う。腐蝕の時間が長いほど凹部が深くなる。
9. すべての腐蝕が終わると、表面のグランドを薬品で洗い落とす。原版の完成。
10. インクをゴムべらなどで、銅版の凹部にすり込むようにして、全体につける。
11. 余分なインクを新聞紙や布でふきとる。
12.プレス機のベッドプレートに銅版を置き、あらかじめ湿らせた紙をのせて、最後にフェルトをかぶせる。
13.プレス機のハンドルを回すとベッドプレートが水平に動き、2本のローラーの間を通過する。
14.このとき銅版と紙がプレスされ、銅版の凹部にたまったインクが紙に写しとられる。凹部が深いほど濃く写る。
15.紙を乾かせば、銅版画の完成。 (説明 北中幸司)

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紫陽花をスケッチされている北中幸司氏

≪北中幸司 プロフィール≫
1969 大阪府に生まれる 京都教育大学特修美術科にて彫塑を学ぶ
1993~2003 彫刻工房『吉田アトリエ』(大阪)にてレリーフ・彫刻などの仕事に携わる
2003 北中幸司『植物のスケッチ』展 ギャラリーテラ(京都)
2007~ 銅版画の制作を始める
2011、2013 北中幸司『銅版スケッチ』展 上門前の家(京都)
2016~2021 北中幸司銅版画展 Gallery SU(東京)
現在、大阪府高槻市に在住

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≪ 展覧会を終えて ≫

“ 銅版をスケッチブックのように持ち歩いて、木や草花を写生する。”
それを部屋に持ち帰って、下描き➞本絵のように進めるのではなく、現地で描いたスケッチそのままを腐蝕して銅版画に仕上がることに、多くの方が驚かれていました。『銅版スケッチ』は、私が試行錯誤ののちに辿りついた技法であり、ここには私が制作で大事にしている考え方や思いが詰まっています。
私は自分の中から絵を生み出してゆけるタイプの画家ではありません。目の前に何か描く対象を必要としていて、それが自然のものであればなおよく、描きたい対象の多くは戸外にあります。揺れ、移ろい、流れていくもの。自然のなかに身を置いて、生きている花や草、木々を描くのが好きなのです。
道の辺に花が咲いているのを、ふと立ち止まり、身をかがめて見入るような気持ちで、『銅版スケッチ』の作品を覗いていただけたなら幸いです。御観覧いただいた方々にはあらためて感謝申し上げます。(北中幸司)

展示作品の印象は「濃淡が美しく、色が見えてきます。」「何度観ても見飽きないです。」「儚さと潔さ、花弁の鮮やかさが好きです。」「外国の詩集本の挿絵に似合いそうな、雰囲気のある作品ですね。」などの感想を鑑賞者から頂きました。手書きの銅版画制作工程を拝見していると、雁皮紙の上から硬い鉛筆でスケッチした線がそのまま銅版画に仕上がる緊張感が伝わってきます。その作品の細部を覗き込むと、樹々の息吹が伝わる自然に包まれているような幸せを感じました。
素晴らしい展覧会と新しい出会いをありがとうございました。(揺 三橋登美栄)



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06/23 19:19 | 展覧会
.」group81˜94.展(2022.5.17~29) を終えて
.」group81˜94.展(2022.5.17~29) を終えて
12:00~18:00(最終日17:00) 23(月)休廊

林康夫(陶) 中井克巳(平面・立体) 山中嘉一(版・平面) 中馬泰文(素描) 木村秀樹(版画) 高橋亨(構成)

2009年に番画廊(大阪)でgroup81展を開催。その後2013年まで毎年開催されましたが、番画廊のオーナー、メンバーの中井克巳先生、山中嘉一先生が相次いでご逝去されて、大阪での展覧会は中断されました。その「group」展の名前を引き継ぎ、参加メンバーの変更後、2014年からgroup86/74/65展を弊画廊で毎年開催させて頂きました。昨年、高橋亨先生がご逝去されたため、ピリオドの意味を込めて、番画廊でのメンバー中井先生・山中先生のご遺作品をお借りして展示。通算14回目の今展が最終回のgroup展になりました。
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中井克巳 作品「ひらく 84」
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中井克巳 作品「ひらく 80-60」
大阪府枚方市生まれ 1927-2013
1957 鉄鶏会の結成に参加(以降6年間)
1959 第3回シェル美術賞展3等賞
1964-1996 ミラノに在住
1973 第15回ミラノ・トリエンナーレ銀賞など受賞
2012 ミラノ、Pulcinoelefante出版社 ”7gennaio2012”出版
2016 個展「Nakai:aperture」イタリア文化会館-大阪企画
2018 個展 ロンドン、ロンキーニ・ギャラリー

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木村秀樹 作品「Lattice on Grid 3」
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木村秀樹 作品「Lattice on Grid 4」
1948 京都市生まれ
1974 京都市立芸術大学西洋学科専攻科終了
2020 「もうひとつの日本美術史―近現代版画の名作2020」(福島県立美術館・和歌山県立美術館)
2021 「フォトグラフィック・ディスタンスー不鮮明画像と連続諧調にみる私と世界との距離―」(栃木県立美術館)

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林 康夫 作品「浪江町の景 ‘22-2」
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林 康夫「浪江町の景 ‘22-5」
1928 京都市生まれ
1998 京都市文化功労者表彰
1999 京都美術文化賞
2018 京都新聞大賞
2022 京都府文化賞・特別功労賞

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山中嘉一 作品「Exterian」
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山中嘉一 作品「Blue Square」
大阪市生まれ 1928-2013
1954-1957 デモクラート美術協会
1972-2002 大阪芸術大学美術学科・浪速短期大学教授
1999 デモクラート1951-1957「解放された戦後美術」(宮崎県立美術館 / 和歌山県立近代美術館 / ほか)
2008 「点と面の詩情」上前智祐 山中嘉一 坪田政彦展(和歌山県立近代美術館)

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中馬泰文 作品「POPEYE」
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中馬泰文 作品「BLONDIE」
1939 大阪市生まれ
2013 検証「現代美術の動向展」(京都国立近代美術館)
2022 「コレクション・五題」(西宮市大谷記念美術館)
    コレクション「た・び・て・ん」(兵庫県立美術館)

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林 康夫 作品「浪江町の景 ‘22-3」
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林 康夫 作品「浪江町の景 ‘22-4」

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左から中馬泰文先生、林康夫先生、木村秀樹先生(2022.05.29)

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京都新聞2022年5月21日(土) 美術欄 アートスクエア(写真付き)
円熟期の作家たちの「group81〜94.」展がギャラリー揺(左京区銀閣寺前町)で開催中だ。前衛陶芸の先駆けで今も精力的に創作する林康夫(28年〜)は東日本大震災で残された廃屋をモチーフにした浪江町の景シリーズの新作を発表。素描の中馬泰文(39年〜)、版画の木村秀樹(48年〜)ら計5人が出品する。2009年に大阪で始まったグループ展は今年で最後となる。29日まで。月休。
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幣ギャラリーで9年連続、毎年開催されたgroup展ですが、惜しまれつつ幕を閉じることになりました。マスク着用で大勢の方々にご来廊頂き、興味深くご高覧くださったことに感謝し、嬉しく思っております。このgroup展はピリオドを打たれましたが、創作活動は今後も変わりなく続けられ、形を変えて新作を発表されると伺っています。その日を楽しみに待っております。素晴らしい思い出をありがとうございました。(ギャラリー揺 三橋登美栄)


05/29 22:04 | 展覧会
「レラシオンセラミカ×京都」展 (2022.3.22~27) を終えて

「レラシオンセラミカ×京都」展 (2022.3.22~27) を終えて
 ≪Relación Cerámica en Kyoto≫

スペイン人のエンリケ・メストレ氏とその教え子さん達(16名)と、日本人の林康夫氏とその教え子さん達(3名)の展覧会(総勢21名)です。

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ビビアン・マルティネス

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エンリケ・メストレ 作品「無題」

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左側 ファニー・ガレラ  右側 アナ・パストール 作品「市場にて」

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上段 ファニー・ガレラ
下段 ハビエル・モルサルバッチェ 作品「多分熱がある」

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アナ・パストール

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テレサ・アパリシオ

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コンセプシオン・レグネ 作品「生成たる森」

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テレサ・ゲレロ・セラノ 作品「雲の上を歩く」

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ファン・ルイス・トルトッサ 作品「スペシャルマン」

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ファン・ルイス・トルトッサ



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ファニー・ガレラ 作品「キス」

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北尾 望

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林 康夫 作品「浪江町の景‘22-3」

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ファニー・ガレラ

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ファニー・ガレラ 作品「山の上で」

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井澤正憲 作品「世界」

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カルメン・サンチェス 作品「夢の橋」

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カルメン・バジェステル 作品「無題」

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ハビエル・モンサルバッチェ 
左側 作品「火の国」 右側 作品「福島の英雄達へのオマージュ」

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アントニア・カルボネイル

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ミリアム・ヒメネス 作品「蜃気楼」
 
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カルメン・バジェステル 作品「無題」

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パブロ・ルイス 作品「聖杯」

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アナ・フェリペ・ロヨ 作品「樽板の上の舟」」

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カルメン・マルコス 作品「心臓」

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ミリアム・ヒメネス 作品「無題」

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フアン・オルティ 作品「無題」

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フアン・オルティ 作品「無題」

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雨に濡れる作品と苔の対比が眩しいです。

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ビビアナ・マルティネス 作品「守護者たち」

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澤幸 作品「Birth」
以前からここに置かれていたように、庭に馴染んでいます。

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哲学の道の桜並木(3月27日午後3時)
展覧会中は寒い日が続いていたので桜花はまだ見られないと思っていましたが、最終日は暖かくなり、哲学の道の桜蕾は綻んで5分咲きです。銀閣寺界隈は急に華やかな空気に包まれていました。

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京都新聞2022年3月26日(土)美術・ギャラリー
RELACION AMICA × KYOTO展(揺=銀閣寺前町 27日まで)林康夫とエンリケ・メストレを起点に始まったスペインと日本の陶芸作家展。挑戦的な造形感覚、染付(そめつけ)が際立つ。(沢田眉香子・著述家)
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小吹隆文氏(美術ライター)発信の49回目の「アートのこぶ〆」展覧会情報でRELACION AMICA × KYOTO展を紹介。
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今回の展覧会「レラシオンセラミカ ×京都」の始まりは14年前に遡ります。

第1回展 2008年【レラシオンセラミカ 日本+スペイン 陶芸展 小野町デパート(和歌山)】
第2回展 2010年【レラシオンセラミカ 東京セルバンテス文化センター(東京)】
第3回展 2010年【レラシオンセラミカ スペイン国立陶磁美術館(バレンシア)】
第4回展 2011年【レラシオンセラミカ ルイス・デ・ルナ陶芸美術館(タラベラ)】
第五回展 2015年【ミシオン・セラミカ 八幡工房(和歌山)】
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参考資料 ≪第1回展リーフレットのご挨拶文を掲載させて頂きます≫
本展覧会は不思議な縁で成っている。2006年夏、林康夫氏のこの一言からすべてが始まった。「西へ行くなら、エンリケ・メストレに会いに行け」 何も知らないままスペインの地に立った僕達は、導かれるように繋がっていったのだ。
バレンシアは焼き物に囲まれた町だった。壁や床、まるで器の中での生活。そして表現しようと日々制作に明け暮れる若者に出会えた。同じ時間を生き、焼き物での表現を考え続ける日本とスペインの陶芸家達。ただその縁の不思議さに打たれながら、この出会いに感謝したい。そしてこの展覧会にかかわるすべての人にとっていい邂逅となれば、と願っている。(井澤正憲)
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参考資料 ≪第5回展リーフレットのご挨拶文を掲載させて頂きます≫
「ミシオン・セラミカ」という本展覧会の名は、スペイン語で「陶芸使節、伝道を通じて生まれた関係」という意味で名づけた。最初の展覧会は2008年、「レラシオンセラミカ」という名で、和歌山市の旧西本組本社ビルで開催した。盟友である林康夫、エンリケ・メストレ両巨匠をそれぞれ師に持つ日西の陶芸家達。同時代を遠く離れた地で生き、陶芸での表現を考え続ける人々との出会いは、お互いの相似と差異を発見し、新たな視点を獲得する機会となった。この後、この展覧会は東京セルバンテス文化センター(四ツ谷)、スペイン国立陶磁美術館(バレンシア)、ルイス・デ・ルナ陶芸美術館(タラベラ)へと続いていった。作家同士の私的な交流から始まったものが、このように広がって行ったことは大きな喜びであった。そして、今ここ和歌山で再び集うことになった。陶芸を取り巻く状況も、作家自身も変化していることを踏まえ、展覧会の形式やワークショップのあり方も従来とは違うものにしなければならないと考えている。切り口も変え、間口を広げ、より多くの人が陶芸に親しむ機会となることを、ひいては日本とスペイン相互理解と二国間の新たな文化交流の一助となることを願っている。(井澤正憲)

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レラシオンセラミカ✖️京都展を終えて
                          
スペインの陶芸家達の作品や人となりに触れるといつも矢野顕子の歌詞を思い出します。
「こんなに遠い 時間も場所も こんなに近い 同じ気持ちで」
言葉も文化も違うのに、共感するものがあるのをいつも感じます。
また、日常生活に追われる中で見失うことや流されてしまうことを思い出させてくれるのです。
よく食べ飲み、喋り笑う。よく働き、思いっきり遊ぶ。とことん喜び悲しみ楽しみ怒る。
アートを、陶芸を愛し、信じて行動する、陽気で心優しいタフなファイター達。
東西の果てからお互いを確認してそっとエールを送る気持ちです。
細い糸を紡いで繋いできた陶芸を介したこの関係が、新たな京都のギャラリー揺という素晴らしい場を設けて下さったお陰で、また新たな一歩を踏み出す事が出来ました。
新たな場で新たな人との出会いで違った意味が浮かび発見がありました。
ご来場頂いた方々と、作品を介して交流出来ましたことを心より感謝しております。
林先生とエンリケの関係から始まったこのご縁の不思議さを感謝しながら、次は何が出てくるのか楽しみに、また日々を歩んで行きたいと思います。 (澤 幸)

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コロナ禍の影響を受けて、特に海外作家さん達の展覧会は減少。アートの活動は中止や延期で停滞している時に、井澤正憲さん・幸子さんご夫妻の熱い想いから、第6回展を京都で開催されました。その勢いは止まらず、今年の10月にスペインで第7回展を開催されると伺いました。これからも両国の作家さん達と更に交流を深め、益々絆を強められることと思います。今後のご発展をお祈りしています。幣ギャラリーで今展を開催してくださったことを大変嬉しく思っています。ありがとうございました。(揺 三橋登美栄)


03/30 12:19 | 展覧会
第四回 一六一六展 (2022.3.15~20)を終えて
第四回 一六一六展 (2022.3.15~20)を終えて

2016年に京都造形芸術大学(現京都芸術大学)通信教育部・陶芸コースを卒業された方々のグループ展です。コロナ禍のこともあり、幣ギャラリーでは2年ぶり3回目です。11名の多彩な作品が室内と庭に展示されました。

《出品者 11名》
井星はるか 梅香恵美子 梅本泰子 落合利男 カレム久実 川本修 
越野良一 谷口和久 中島秀 中村晃 長瀬真弓

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カレム 久実 
左側 作品「青幾何学文様小皿」:2020年春、モロッコでの在宅勤務が続く中で、イスラム幾何学文様の描き方をオンラインで学びました。2021年、コロナ禍を京都でやりすごす期間、縁あって染織をかじり、狭い台所と居間でイスラム幾何学文様の手ぬぐいを何枚も型染めしました。その型を使い、小皿に白化粧したもので、いわば、副産作品でしょうか。
右側 作品「青虎」:息子が4歳くらいの時、自分が夜な夜な稲妻と共に変身するという青い虎の絵を描いてくれました。その絵を実寸コピーして型として起こした作品です。(当時の在住地カンボジアで焼きました)。小さな虎はマケットのつもりだったのですが良くできたので意図せずして母子虎になりました。

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谷口和久
左側 作品「L’habit della civetta」:自然界のフクロウを表現
(黒土、紐積み、月白釉・白化粧、ランプ点灯)
中央 作品「Il fiore nel cuore」:心の中に咲く優しい花を表現
(黒土、手びねり、月白釉、作品は組み立て)
右側 作品「葉文小鉢」:月白釉と白化粧による彩りの器(黒土、ロクロ・タタラ、月白釉・白化粧)

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落合利男
作品「混2021」:従来の日常が奪われ、換気・消毒・接近接触を避ける習慣を植え付けられた年 
五輪や各種行事の開催の是非も人や組織によってはこれ程までに混沌・混迷・混乱した2021年は無かった 元の日常に戻りますように!

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梅本泰子
作品「ONE」:卵の中に何かがいる・・・(磁土、下絵の具、透明釉)
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梅本泰子
作品「マリーナの悲恋」:アンデルセン「人魚姫」王子に焦がれ、人間の足と引き替えに声を失うマリーナ。魚の鰭から脚へと変化していく。(磁土、青磁釉)
 
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川本 修
作品「夕彩・カムイムプリ」:見慣れた風景の夏の夕暮れの一瞬

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中島 秀
作品「ローザとグリューン」:~自分の色を探しに行こう~ ローザとグリューンは自分の色を見つけることができるのでしょうか。

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長瀬真弓
作品「crack」:長い年月をかけて自然が作り出す渓谷の亀裂、大樹の幹の亀裂など自然が作り出すヒビを美しいと思います。黒土に白化粧を塗り、土を動かすことによって、自然に出来るヒビで表現しました。

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梅香恵美子
作品「初心」:陶芸を始めたとき、制作しようと考えたラフスケッチの一つを作品にしました。シンプルなかたちから、実用的なかたちや装飾へと発展していこうとする原点となる作品です。黒御影土使用 焼成は焼き締め 作成方法は手びねりです

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井星はるか
作品「染付け皿」:赤土・白化粧・呉須 酸化焼成 ロクロ成形 絵付け
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井星はるか
作品「くるくるⅡ」:ロクロで成形後、気の向くままにカットした物に輪にした土を積み上げた器(白土、酸化焼成)
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井星はるか
「つなぐ」:手びねりで器を作りカットしたものの上下に輪にした土を積み上げました(白荒土、酸化焼成)

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中村 晃
左側 作品「お箸置き」
中央 作品「湯呑茶碗」:黒土に白化粧、透明釉
右側 作品「ぐい吞み」:2007年のエベレスト登山の旅を思い出し作品に込めました。土を丸めた形からナイフと包丁のみで岩肌を切り裂き整えた。アメリカンラクー焼成に興味があって2019年秋、黒田村の楽焼講座に初参加をしてその後、カナダのバンクーバー、アメリカのサンタフェに通訳の息子同伴でラク窯見学に行った。(中略)省エネを考慮して海外のユーチューブを参考に、軽量の金網にセラミックファイヤーを巻いてバーナー1本で昇温できる窯に変更 ホームセンターやネット通販から資材を集めて自分の窯を完成。低温釉薬の調整、高温での釉薬のヒビ割れなど失敗ばかりが続いているがガマンの最中で奮闘中です。

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越野良一
左から順に 作品「彩泥墨流し組皿」 作品「彩泥削り茶碗」 作品「粉引き茶碗」
:化粧土で色々の装飾を試してみました。

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長瀬真弓
作品「crack」:作品制作途中で、裂けた粘土をまた違う形に再成しました。

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谷口和久
作品「花入れ」:月白釉による器の彩り(黒土、紐積み+手捻り)

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中村 晃
作品「インド オリッサー」:信楽荒土に自然釉薬使用 信楽焼の穴窯で密教的エロスを表現した

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谷口和久
作品「信楽彩壺」:信楽の登窯での炎による自然の彩り(信楽土、紐積み、無釉、信楽陶芸の森)

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ご来場ありがとうございました。
我々一六一六展メンバーは陶磁器の制作と展示を継続することにより個人の活力維持はもとより社会貢献、文化高揚の一助となるように願いながら、これからも皆さんと共に活動して参ります。
それでは再会をねがって  See You Again !  Ciao !  再会 !(落合利男)
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――展覧会を終えて――
2年ぶりに一六一六展の方々と元気に再会できて嬉しかったです。出品者の方々は、それぞれに創作への思いを熱く語っておられるので、時々は仲間に入れてもらって陶芸のお話を伺いました。最終日には野田華子さんが来廊、搬出梱包後のティータイム中にはモロッコ在住のカレム・久美さんとiPhoneでビデオを共有して大いに盛り上がりました。楽しい時間をご一緒させて頂きありがとうございました。(揺 三橋登美栄)


03/20 23:31 | 展覧会
川瀬理央・下村一真展(2021.11.30~12.12)を終えて
川瀬理央・下村一真展(2021.11.30~12.12)を終えて

京都文化博物館で開催された工芸美術・創工会支援企画 新進作家5人展(2018年)で、川瀬理央氏の作品を初めて拝見し、ご本人にお声かけさせて頂きました。その後、当時京都陶磁器会館学芸員の下村一真氏が川瀬理央陶展(2019年)を担当、その展覧会を拝見した折に、弊ギャラリーでのお二人の展覧会案がまとまり、今回の「うつわをかりて」展を開催させて頂くことになりました。

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ーうつわをかりてー
繁茂する樹木のような繊細な造形を生み出す川瀬、火色など薪窯焼成で生じる表情を作品にからめ取る下村、2人とも磁土を使い、しばしば「器形」を用います。川瀬にとって器とは作品の主題である「時間」と深く関わるもの、下村は窯変の「キャンバス」として便利な造形と捉えています。それぞれの磁と器とのかかわりをご高覧くださいませ。(下村一真)

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川瀬さんの白い作品「刻」は呼吸している樹木のようで成長過程の時間が透過して見えます。庭の照葉の緑に、秋の紅葉と黄葉のみぎり、庭と室内の区切りは消え去り、美しく溶け込んで作品と自然が一体化して繋がっています。

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作品の説明をされる川瀬理央氏
川瀬さんは磁土を使って、太さの違う小さな紐を作り、樹木を表現するのに下から積み上げて形作られます。その「ひねり」のような技法を、川瀬さんは「ちねり」と言われます。

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下村さんは磁土(天草陶石100%)を使って、童仙房跡の白い丸を取り囲む赤い焼き色に心を注がれ、鑑賞者は淡い火色の緊張感と滲みの美しさに魅かれます。赤い焼き模様や陶肌を間近で丁寧に鑑賞することで初めて気付く発見に息を呑みます。(※童仙房とは、焼成時に作品の底に敷き、くっつき止めとして使用するものと伺いました。)

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作品の説明をされる下村一真氏

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《小吹隆文 アートのこぶ〆34》  
川瀬さんの作品は樹木が細かい枝をびっしり張り巡らしているようにも観えますし、見ようによっては盆栽のようにも観えます。巨大な樹木のミニチュアのようにも観えます。盆栽というのは、元々大自然のミニチュアとして作られているものなので、そういうものかもしれません。樹木をモチーフにしながらも形としては、あくまでも器の形を取っているのがこの方の特徴で、磁土を使った作品です。非常に細かい枝が張り巡らされているので、これは運搬する時にものすごく気を遣うだろうなと思います。
下村さんも磁土を使った焼物です。一見すると壺とか花器とかいう、非常にオーソドックスな器という感じで、オレンジ色の火色がついています。これは、窯の中に焼物を並べて焼成中の最後で色がつくというものです。
「うつわをかりて」というタイトルが意味深で、川瀬さんは、見た目には特異な作品を作っているのですが、あくまで器の形を借りています。下村さんはオーソドックスな器に観えるのだけれど、器の表面を一種のキャンバスに見立てて、絵を描いているわけではないけれど、火色のイメージを作り出すために、器という形を使っているということです。
(12/02(木)のリポート書き起こし要約 三橋登美栄)
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展示を終えて

樹木をモチーフに器型作品を制作しています。樹木には幹のうねりや枝ぶりに、器には作り手、使い手の重ねた時間が刻まれています。「今」に至るまでの過程に魅力を感じて形にしています。
揺の空間は日によって、時間によって変わる他にないギャラリー空間、そのお陰で作品のさまざまな姿を見られ、楽しくもありながら難しさも感じた2週間でした。
今回は週末だけとはいえ、久しぶりに長く在廊することができ、変わっていく空間と作品、又ご来場頂いた方々のお陰で豊かな時間を過ごすことができました。
瞬間瞬間に変わっていく作品の表情を見る中で、新たな可能性が見えてきたので、この時間を次に繋げていきたいと思います。ありがとうございました。(川瀬理央)

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陽の光や庭の草木が刻々とうつろうギャラリー揺さんでの2週間は、とても居心地の良いひとときでした。
今回の川瀬さんとの2人展にあたり色々思案を重ねた結果、私も器形に絞り、「うつわをかりて」というサブタイトルにしよう、という考えに至りました。私は「磁土を薪窯で焼き締めて火色などの表情をうつし取ること」を目指して制作しており、変な物言いですが、器を作りたくて器を作っているわけではありません。そういう意味で、川瀬さんも私も器という形を借りて表現しているのです。
 そういえば今年初めて、作家さんの徳利を買って使い、植木屋のアルバイトで石を据えるお手伝いをしました。たぶんそのせいで、今まで鋳込み成形だった徳利を轆轤で挽き、畳の間の壺の配置は庭石風でした。これからの制作も何に影響されるか分かりませんが、心地よく揺らぎながら精進したいと思います。
 様々な形でお世話になりました皆様に厚く御礼申し上げます。(下村一真)

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《付録》
下村さんは、奈良県宇陀郡御杖村にある薪窯で制作をされています。そのお話を伺いながら窯焚きの動画を拝見しました。窯の焚口や煙突から飛び出す炎のエネルギーにワクワクしました。[ https://youtu.be/GDsdZWODgXc ]より窯焚き動画を閲覧頂けます。 若いお二人の今後のご活躍を楽しみにしています。ありがとうございました。(ギャラリー揺 三橋登美栄)


12/18 13:58 | 展覧会
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